2021年7月22日 (木)

ロシア・ハウス

ショーン・コネリー主演の映画を見たのはもう27年前のことなので、ストーリーもすっかり忘れていて、まったく白紙の状態で読み始めました。

最初はニキ・ランダウが主人公かと思い、次にネッドが主人公と考え、バーリーが登場した時には脇役かと思ってしまったため、彼が真の主役とわかった時には、全く違うイメージを持ってしまっていて、ショーン・コネリーではどうしても違和感を持ちました。

冷戦時代をリアルタイムで知ってはいるものの、もうすっかり昔のことになっているので、ピンとこないことも多かったのですが、情報戦でお互い相手の兵力が勝っているものと信じ、それを崩そうと奔走するスパイの姿は、「ジ・アメリカンズ」と重ねることでようやく実感できました。

そんなこんなで、それほど楽しめたとは言えませんが、硬い文章がすんなり読みにくいことの多いル・カレにしては、結構さらっと読めたほうだと思います。


「The Russia House」(ジョン・ル・カレ著・早川書房)

2021年6月 8日 (火)

インフェルノ

先月「わが心臓の痛み」を読んだのに続き、やはり映画化原作であるダン・ブラウンのこちらの本を読みました。

映画を見たときに記事も書いたのですが、4年ぐらい前なので細かいところは忘れていたし、ラストがだいぶ変わっていたので驚きました。

主人公のラングドン教授はどうしてもトム・ハンクスを思い浮かべ、彼と一緒に逃亡するシエナはフェリシティ・ジョーンズをイメージしましたが、その他の登場人物が俳優を特定できなかったのは、設定が微妙にずれていたからなんですね。

それに、私が好きな俳優ベン・フォスターが映画で演じたゾブリストは、原作の中では違う印象で、彼を念頭に読み進めることができませんでした。

映画を見た時にはなかった要因として現在のコロナ禍があり、今読むと感染の怖さとかその裏にある悪意が妙にリアルで、このコロナ騒ぎを見て利用価値を見出す人がいなければいいなと思ってしまいました。

また、昨年見た映画「9人の翻訳家」は、この「インフェルノ」翻訳時に実際に行われた隔離が元になっていると聞いたので、この内容(結末)なら外に漏らしたくないのも納得だと考えながら読みました。


「Inferno」(ダン・ブラウン著・角川文庫)


2021年5月10日 (月)

わが心臓の痛み

ゴールデンウイークにブログの整理をしていたら、本カテゴリーをすっかり放置していたことに気づき、ちょうど読んでいるのが映画の原作本だったので、記事にすることにしました。

マイクル・コナリーは以前にも「リンカーン弁護士」の時に記事を書きましたが、その後ボッシュ刑事の第1作から順に読み進めており、ようやくこの本まで到達しました。

何でこの邦題なのか疑問で、映画タイトルにもなった「ブラッド・ワーク」のほうが、主人公テリーがFBI分析官として所謂「血の仕事」をしていたことや、後半で明らかになる二重の意味合いを考えてもいいと思うのに、不思議な選択でした。

ずいぶん前ながら映画を見ていたので、テリーはやはりクリントの姿を念頭に読んでいました。
本を読んだ後で映画ももう一度見てみましたが、犯人の設定が少しだけ変わっていて、1回きりの映画としてはこれで良かったのかもしれませんが、シリーズものの原作としては、この展開にはしたくないよなーなんて思いました。

映画を1回目に見た時の感想を映画ノートから拾ってみたところ、当時はマイクル・コナリーの原作も知らず、純粋に楽しめたようで、「あっという間に引き込まれて1時間、更に気づいたら1時間経っていた」とありました。

次はダン・ブラウンの「インフェルノ」を読んでいるので、こちらも読み終わったら感想を書きたいと思っています。


「Blood Work」(マイクル・コナリー著、扶桑社)

2018年4月 4日 (水)

ホーキング、自らを語る

先月スティーブン・ホーキング博士が亡くなりました。それで、「博士と彼女のセオリー」を見た後でトライしようと言いながら先延ばしにしていた、彼の本を読むことにしました。
でも、宇宙についての本は絶対に理解できないと思ったので、まずは彼の自伝から始めました。

こちらでも研究についての話は出てきましたが、理解度は皆無。「宇宙ひも」についてのくだりは、「もしやこれは『ビッグバン・セオリー』にも出てきたひも理論では・・・」とちょっと興味を持ちましたが、説明を読んでも全くわかりませんでした

関心を持って読むことができたのは、幼少時の話。医者の父親のことや、模型機関車が好きで、いろいろ工夫して動かそうとしたことなどです。
映画でも描かれていた最初の妻ジェインと2番目の妻エレインとの結婚については、彼の側からの話を聞くと、また違った印象を持ちました。

ビッグバン・セオリー」に出るくらいのお茶目さんなので、当然といえば当然なのですが、彼の本も同じくユーモアに満ちていて、とても楽しめました。
後は、「時間小史」という原題の「ホーキング、宇宙を語る」に頑張って挑戦するか、まだ思案中です。


「My Brief History」(スティーブン・ホーキング著、あすなろ書房)

2017年5月16日 (火)

チャーリー・モルデカイ

以前見た映画「チャーリー・モルデカイ」が軽妙で悪くなかったので、原作も読んでみることにしました。

もっと最近の本かと思っていたら、1972年に書かれた小説でした。当時の流行や社会情勢に言及したジョークも多く、そのせいか文章がすっと頭にはいってこなくて、主人公のキャラに合わせたふざけた会話調の文体も意外に苦戦し、読み進めるのに時間がかかりました。

そういう意味では、映画の方が現代風にアレンジされていて、わかりやすかったのだと思います。

登場人物も、本のチャーリーはでっぷりお腹の中年オヤジだけれど、ジョニデが演じると魅力的な中年貴族になっていたし、チャーリーと敵対するマートランドも、映画の中では、時に対立することはあっても、互いを認め合う仲で好感が持てました。

単にユアン・マクレガーが好きなので、彼の演じたマートランドが原作では完全に嫌な奴という設定になっているのが、受け入れられなかっただけかもしれません。

4部作(4作目は著者亡き後に加筆して完成)らしいのですが、残りをすぐ読む気になれず、第1部のみで止めてしまいました。そのうち気が向いたら続きを読むかもしれませんが、いったんはここで終了です。


チャーリー・モルデカイ1 英国紳士の名画大作戦」(キリル・ボンフィリオリ著・角川文庫)

2016年8月26日 (金)

首のたるみが気になるの

記事タイトルを見て「何だ?」と思われた方もいるかもしれませんが、いわゆる美容本ではありません。
実は私もその手の本かと思ってチェックした(なにしろアゴ周りが気になるお年頃なので・・・)のですが、今は亡き映画監督ノーラ・エフロンのエッセーです。

年を重ねて首のたるみというかシワが気になるという話が書かれているのですが、それ以外にも、実はJFK政権下のホワイトハウスでインターンをしていたとか、興味深い逸話もありました。

「恋人たちの予感」や「めぐり逢えたら」といったラブコメの脚本を書いた人なので、話が楽しいのは当然でしょうが、阿川佐和子さんの翻訳が、更にコミカルさを引き立てています。
ノーラ・エフロンの存命中に翻訳の話をもらったのに、放置しちゃってたとのことですが、亡くなっていなかったら私も読むのを後回しにしてしまった気がするし、このタイミングだからこそ手に取ったかなと思います。

ただし、最終章の「さようならを言う前に」は、残りの人生をどう生きるかという話で、今となってはさすがに物悲しすぎました。



首のたるみが気になるの」(ノーラ・エフロン著・集英社)

2016年7月 2日 (土)

パリ移民映画

先月、フランスの移民問題を考えるシンポジウムに足を運ぶ機会があり、その時に紹介されていたこちらの本を読みました。
映画化された原作小説ではなく評論本ですが、映画関連本として書きたいと思います。

読み始める前に、なぜ「フランス移民映画」ではないのかと疑問に思っていたところ、パリという都市論を絡めた移民映画についてだったのでした。

パリはペリフェリックという高速道路に囲まれていて、その周辺地域に移民が多く、そんな郊外で暴動が起きたのはニュースでも目にしますが、形を変えながらもペリフェリックの以前からずっとあった城壁(「レ・ミゼラブル」などでも描かれている)に端を発しているんですね。

学生時代や新卒の頃は山のように映画を見ましたが、1本1本をどれほど理解していたかというと、深く考えることはほとんどなく、うわべだけで見ていたと改めて感じました。

遠い夜明け」や「フィラデルフィア」のように明らかな社会問題ならともかく、フランス映画は移民問題が日常の中に描かれている気がするので、当時は「フランスっていろんな人種を受け入れ共存していてすごい」としか捉えてなくて、根っこにある差別には目を向けていませんでした。

この本で大きく取り上げていた4本の映画の中で、私が見たことのあったのは「サンドイッチの年」の1本のみ。この映画の解説を読んで、上述のような気づきがあり、機会があれば見直したいと思いました。

その他、簡単に紹介されたり名前が挙がったりした作品の中にも、積ん録になっているものがあるので、それらも早いうちに見ようと思います。


「パリ移民映画 都市空間を読む -1970年代から現在」(清岡智比古著・白水社)

2016年5月20日 (金)

ウッドストック行最終バス

ドラマ「主任警部モース」を見終えたので、コリン・デクスターの原作にも挑戦することにし、まずはこちらの処女作を読みました。

ある酒場の駐車場で、若い女の死体が発見されます。事件を担当することになったモースと、彼と初めて組むことになったルイスが調べを進めるうち、被害者はもう一人の女性と共に、ウッドストックに向かう途中でヒッチハイクしたことがわかり、その女性と二人を乗せた車を探し始めます。


ドラマの1話目は「ジェリコ街の女」(小説では5作目)だったので、こちらのエピソードの時にはモース&ルイスのコンビがすっかり定着した後でしたが、原作と順序を入れ替えたのには理由があるのでしょうか?

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2016年4月15日 (金)

P.S.アイラヴユー

今年初めに見た映画「あと1センチの恋」の原作も書いたセシリア・アハーンの、やはり映画化されたこちらの小説を読みました。

最愛の夫ジェリーを病気で亡くし、生きる気力もなく毎日家に引きこもっているホリー。しかし、夫が生前、自分のためにメッセージを残してくれたことがわかります。毎月一通ずつ開封するようになっているメッセージを読んでは、彼の指示通りにドレスを買い、カラオケに挑戦し、次のメッセージを楽しみに日々の生活を送るようになります。


映画の方はずいぶん前に見ていて、そういう場合は俳優のイメージが重なってしまうのですが、今回ばかりはヒラリー・スワンクとジェラルド・バトラーは浮かびませんでした。小説の中ではホリーもジェリーも、もっと線が細くて、はかなげな印象を持ちました。

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2016年4月 4日 (月)

暗夜を渉る

昨年末に見たテレビムービー「警察署長ジェッシィ・ストーン」の原作小説第1作を読みました。

LAの殺人課を辞め、マサチューセッツ州パラダイスの警察署長に雇われたジェッシィ・ストーン。二日酔いで面接を受けても、行政委員のヘイスティは居に介さない様子でしたが、その時はジェッシィも疑問に思いませんでした。
実際にパラダイスで仕事を始めた彼は、乱暴者のジョウ・ジョウを抑え込んで、周囲から評価されるようになります。しかし、それはヘイスティにとっては誤算でした。


映画ではトム・セレックが演じていたジェッシィ・ストーンですが、小説では35歳という設定で違和感がありました。小さな町とはいえ警察署長なわけだし。しかも映画では3人だった署員が小説では10人くらいいました。

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