映画

2021年3月29日 (月)

ウイスキーと2人の花嫁

実話が基になっているのですが、コミカルで笑えました。

ウイスキーが大好きな島民たちが、大戦中に配給が底をついてガックリくるのはわかるとして、ショックで(⁈)亡くなる人あり、年頃の娘たちは結婚できないと嘆き、子供たちまでウイスキーがないと話題にする・・・。一体どんだけ影響受けてんの⁈と突っ込みたくなります。

そんな時タイムリーに、島の近くでウイスキーを積んだ貨物船が座礁し、これ幸いと失敬しようとするのですが、牧師の「安息日」の一言で皆うなだれて帰ります。どんなにウイスキーを求めていても信仰には勝てないのねーと・・・。

ウイスキー騒動の傍らで、2人の娘を嫁にやる父親の悲哀も描かれており、ペーソスあふれるトーンもなかなかでした。

クライマックスで、持ち出したウイスキーを当局に見つかりそうになり、てんやわんやの大騒ぎになるところは、超スラップスティック。
子供が手旗信号で危険を知らせるのが可愛かったし、時代を感じさせて良かったです。


Whisky Galore!」(2016年イギリス)

2021年3月28日 (日)

シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!

私はシラノの話が好きで、最初に見たのはスティーブ・マーティンの映画「愛しのロクサーヌ」でしたが、その後ドパルデューの正統派を見て若きヴァンサン・ペレーズを愛で、ジャン・ポール・ベルモンドの舞台は3回も足を運びました。
しかし、作者のエドモン・ロスタンのことは何も知らないままでした。

舞台劇の誕生秘話とのことですが、果たしてどこまでが事実でどこからが創作なのでしょうか。友だちの恋文を手伝ってあげたのはともかく、カフェの主人が客を見事に言い負かすのを見て作品に取り入れたのは、きっとフィクションですよね?

ただ、シラノが実在する剣豪作家だったというのは本当らしく、当時の有名俳優コクラン(オリヴィエ・グルメがグッド!)に請われて作った芝居というのも事実のようです。

サラ・ベルナールやリュミエールの活動写真が出てくるのも時代を感じたし、舞台が大当たりになると分かっていても、大成功で幕が下りた時には私も嬉しくなりました。

エンドクレジットでは、コクラン以降シラノを演じてきた俳優たちの映像が流れ、ジャン・マレー(1970年)もいました! でも、ドパルデューはあったのにベルモンドがなかったのは残念です。(権利がもらえなかったのかな?)


Edmond」(2018年フランス・ベルギー)

2021年3月27日 (土)

ポルトガル、夏の終わり

いかにもヨーロピアンな、入り組んだ家族構成の人々が織り成す物語です。

女優のフランキーは病に侵され、最後の家族旅行でポルトガルにやってきますが、仕事で知り合ったアイリーンも呼び寄せ、息子ポールとくっつけようと画策します。しかしアイリーンは恋人ゲイリーも連れてきてしまい・・・、と予定外に物事が進みます。

フランキーの現在のパートナーであるジミーとその娘家族や、彼女の元夫で今はゲイをカミングアウトしているミシェルも加わり、それぞれが様々な思いを抱えているのですが、皆が一様にフランキーを愛し気遣っているのがいいですよね。

一見シンプルなストーリーなのですが実は複雑な関係を描いている、こういう作品が私は大好きです。
何てことない終わり方も、人によっては物足りなく感じるのでしょうが、いかにもってエンディングじゃなく、ごく普通の日常を切り取った風なのが、現実的で好ましく思います。

主人公を演じるイザベル・ユペールは、「未来よ こんにちは」とか「アスファルト」とか、私好みの映画によく出ている気がします。出演作が多いので、「エル」みたいな強烈なのもありますが。
最近お気に入りのフランス女優の一人です。


Frankie」(2019年フランス・ポルトガル)

2021年3月23日 (火)

ニューヨーク あなたの音を探して

まず、主人公ピーターの「ハウス・チューナー」って職業が面白いと思いました。生活家電などが発する、聞こえるか聞こえないかの音の組み合わせが原因で、眠れなかったり不調になったりするのを解決する人で、本当にそんな仕事があるのか不明ですが、何だかもっともらしいし、それで解決してぐっすり眠れるならいいなと思いました。

とにかくピーターがオタクな感じで、音叉を持ってニューヨークの街なかを歩き回ったり、音響学会アワーって超マイナーな(ですよね?)ラジオ番組を聴いていたり・・・。

彼は自分の研究を熱っぽく語るばかりで、話し相手はつまらなくないのかなーなんて思ったりしましたが、そこは映画なので(?)、ハウス・チューナーの仕事で出会ったエレンは、けっこう興味を持って聞いていました。

ラストの静かな終わり方も良かったですね。
ピーターを演じるピーター・サースガード(「マグニフィセント・セブン」)は、いつもはそんな印象ないのに、ここでは地味な感じがピッタリはまっていて、すごいなと思いました。


The Sound of Silence」(2019年アメリカ)

2021年3月22日 (月)

オースティンランド

動画配信サービスで見つけ、オースティン好きの私としては見ねばなるまいと、くだらないロマコメかもと思いつつ視聴しました。

オースティンファンであっても、このオースティンランドに実際に行きたいかどうかは別として、彼女の小説に出てくるような屋敷や、あの時代っぽい雰囲気の会話には魅力を感じました。ところどころでジェニファー・クーリッジが見事にぶち壊してくれるのですが、そこはコメディなので。

屋敷にいる男性陣も、ミスター・ダーシー風の人に、「説得」のウェントワース大佐らしき人に、もう一人は誰だろう、「分別と多感」のブランドン大佐あたりかしら? 演じるのがジェームズ・カリスなので(しかもお笑い担当クーリッジの相手役)、イメージが違って見えたけど。

オースティン好きならいいけど、そうじゃなければロマコメとしては大して面白くないかもしれません。「ニュー・アムステルダム」にも出ていたJJ・フィールドは、ダーシー似を別にしてもなかなか良かったけれど。

主人公ジェーンの部屋にあった等身大のミスター・ダーシー(もちろんコリン・ファース)は、私も欲しくなりました!


Austenland」(2013年イギリス・アメリカ)

2021年3月14日 (日)

パピヨン(2017)

以前にも「アルカトラズからの脱出」の記事で書きましたが、脱獄映画好きの私お気に入りの一つが、スティーヴ・マックイーン&ダスティン・ホフマン共演の「パピヨン」(1973)で、そのリメイクが作られると聞いた時から気になっていました。

アクションスターのマックイーンと、これまた演技派で名を馳せていたホフマンの組み合わせで、エンターテインメント性の高かったあちらと異なり、「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」に出損ねた(失礼!)チャーリー・ハナムと「ボヘミアン・ラプソディ」で注目される以前のラミ・マレックのコンビは、若干地味な分、よりリアルな作りになっていたような気がします。

でも、パピヨンとルイのブロマンスはここでも健在で、最初は互いの利害が一致したから一緒にいた2人だけれど、義理堅いパピヨンにルイも徐々に信頼を寄せ、過酷な環境の中で唯一無二の存在になっていく様子が、見ていてたまりませんでした。

どうしても先に見た方がインパクトはあるので、最初イマイチに見えたこちらの映画ですが、より史実に近い感じで、これはこれで良かったかも。ラストで当時の写真や映像を見せていたのも、実話だということを実感できました。
73年版を見ていなかったら、こちらもお気に入り脱獄映画の仲間入りをしたかもしれません。


Papillon」(2017年アメリカ)

2021年3月 6日 (土)

アバウト・レイ 16歳の決断

性同一性障害に悩む少女の話で、アメリカ公開時から注目していた映画です。

自分の年齢から、やはり母親側の視点で見てしまいました。愛する子供が苦しむのを見たくない、助けてあげたいと思いつつも、手術すれば済むという簡単な話ではなく、まだ若いレイが本当に自覚していると信じていいものかもわからず、決断できない気持ちがよくわかりました。

私もレイの心理が分かるとは言えませんが、この障害に苦しむ人はきっと、自分の性が間違っていると明らかに認識しているのでしょうね。だから、物心ついたばかりの頃ならともかく、ある程度の年齢になったら、疑問の余地なく判断できるのかなと思います。

ただ、物語はそれだけでなく、シングルマザーの家庭に育ったレイが、手術に両親の同意が必要と知って疎遠の父親に会いに行く過程で、様々な事実が判明し、家族というものについても考えさせられる展開になっています。

エル・ファニングは、いつもあんなに可愛いのに(今見ている「The Great」もそう)、ここではショートヘアですごくボーイッシュだったし、男の子になりたい心境を見事に演じていました。
レズビアンのおばあちゃんスーザン・サランドンもいい味だったし、母親役のナオミ・ワッツと、新旧演技派女優の豪華競演に魅せられました。


Three Generations」(2015年アメリカ)


2021年2月23日 (火)

幸せへのまわり道

この映画が作られると聞くまでは、フレッド・ロジャースのことも彼の子供番組のことも知りませんでした。

主人公はインタビューをする側のロイドで、彼と父親との確執が中心であり、フレッドはロイドの抱える問題を明らかにする脇役だったのですが、それでもフレッドの人柄や物事の捉え方をうかがい知ることができました。

また、随所に彼の番組を模したと思われる場面が挿入され、冒頭の歌とロイドの紹介の時や、郵便配達員が持ってきたビデオを見せて説明するところなど、こうやって番組を進めていたと推測できました。

ロイドに寄り添うフレッドの姿は、彼が番組を通じて世の中の子供たちに寄り添う姿と同じであり、彼の人となりがよく分かりました。同じく人格者として知られるトム・ハンクスにピッタリな役だと思います。

怒りのコントロールの仕方や、親の離婚とか死への向き合い方とか、子供でも大人でも対処方法は共通するのだと感じました。
フレッドの手腕でロイドだけでなく私自身も人生を見つめ直させられている気がして、予想以上に考えさせられる映画でした。


A Beautiful Day in the Neighborhood」(2019年アメリカ)

2021年1月31日 (日)

パターソン

何てことない日常を描いているのに目が離せない作品で、私はこういう作風の映画が好きだとわかっていたのに、ずっと積ん録していたのを、ようやく見ました。

主人公のパターソンは、いたって平凡なのですが、奥さんはユニークだし、バス会社の同僚ドニーも笑えるし、行きつけのバーのマスターもいい味だし、そんな周囲の人たちとの対比が、飽きさせない要因だと思います。

それに、バスの運転手をするパターソンが、乗客の話に耳を傾けながら時折笑みを浮かべたりする、その何気ない様子がとても良くて、アダム・ドライヴァーの演技が光っていました。

舞台となるパターソン(地名と主人公の名前が同じで紛らわしい)にゆかりのある有名人の話もちょくちょく出てきて、特にラストは、そのゆかりの詩人の話で興味深かったです。

ジャームッシュ監督が詩人に頼んで書き下ろしてもらったという、劇中でパターソンが創作する詩も味わいがあったし、パターソンという土地も監督が実際に訪れて映画にしたいと思ったとかで、彼の思いに溢れた映画でした。

監督の「ミステリー・トレイン」にも出演した永瀬正敏の名前がクレジットにあったので、いつ出てくるかと思っていたら、ラストのラストで登場し、でも主人公に影響を与える重要な役どころでした。


Paterson」(2016年アメリカ)

2021年1月29日 (金)

アグネスと幸せのパズル

以前見たアルゼンチン映画「幸せパズル」のアメリカ版リメイクです。

自分の誕生パーティーなのに自ら準備してもてなし、その時に割れた皿のかけらを繋ぎ合わせてパズルの才能を発揮するなど、オリジナルをかなり踏襲していました。

旦那は優しいし、2人の息子たちとも仲良くやっているし、不自由ないように見えますが、家族と教会と田舎の生活だけで何の楽しみもなかったアグネスが、ロバートと出会ったことでパズルの奥深さだけでなく外の世界を知り、徐々にフラストレーションを感じていく様子がよく分かりました。

自分は決して幸せではなかったと、単に我慢していただけ、いえ、我慢していることさえ意識していなかったのだと気づいたおかげで、長男の悩みにも手を差し伸べられたし、次男の考えに対しても理解が深まったのかなと思います。

ラストもオリジナルと同じだったのに、前回よりも受け入れやすかったのは、私の人生経験によるものと言いたいところですが、恐らく今回はアグネスだけでなく家族全体の再生が感じられたからだと思います。

私も昔ジグソーパズルにはまった時期があったので、久々にやってみたくなりました。

ロバートを演じたイルファン・カーン(「スラムドッグ・ミリオネア」「ライフ・オブ・パイ」)は、この映画でも印象的でしたが、昨年惜しくも亡くなってしまい、まだ若かったのに残念です。


Puzzle」(2018年アメリカ)

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