映画

2020年12月25日 (金)

ハリエット

実在の奴隷解放活動家の映画を見ました。

まず、ミンティが逃げるところからハラハラし通しで、やっと自由になれたというのに、家族を連れに戻る決心をしたので、またもやハラハラ。そればかりか、南側の奴隷を北の自由州に逃がす先導役(車掌)にまでなったので驚きました。

最初に活動家と聞いた時にはもっと政治的な、例えば「ベスト・オブ・エネミーズ」のアンような人を想像していました。でも、1849年という時代と、女性で字も読めないとなれば、それは難しいですよね。

危険覚悟で奴隷解放の実行部隊になる方が、ずっと勇気が要る気がしますが、ハリエット(ミンティ)は、自分が奴隷だった経験から、仲間が同じ思いをしているのを見捨てられなかったようでした。

歌を歌って奴隷を呼び寄せる方法は、実際に行われていたやり方だったのでしょうか。奴隷の黒人が歌を歌いながら農作業をするって、これまた私の中でのイメージですが、いいカムフラージュになっていたのかなと思いました。シンシア・エリヴォほど歌はうまくなかったかもしれませんけれどね。

奴隷というとルイジアナとかジョージアとかの南部の州のイメージでしたが、メリーランドとペンシルバニアの間が境界だと今回知りました(メイソン=ディクソン線というらしいです)。

南北戦争で少しは改善されたのかもしれませんが、100年以上経った現代でさえ、Black Lives Matter運動が起こっていることを考えると、険しい道のりだったと言わざるを得ません。その道のりにハリエットのような人たちがいたことを忘れてはならないと思いました。


Harriet」(2019年アメリカ)

2020年11月 8日 (日)

ザ・ゴールドフィンチ

アメリカでの公開時に気になっていた映画です。日本では結局未公開のようですが、なぜでしょうか。

ニューヨークで美術館のテロに巻き込まれたことに始まり、テオの波乱に満ちた人生がどう回っていくのかに興味を引かれて、飽きませんでした。

母を亡くした後、同級生のアンディの家に引き取られて幸せだったのに、ずっと前に蒸発した父親が現れ、ラスベガスに連れて行かれて苦労したり、その父も亡くなってニューヨークに舞い戻り、テロが縁で知り合ったホービーのところに居候したり。

特に、なぜかテオの手元にある美術館所蔵のゴシキヒワの絵の謎と、クライマックスでの意外な顛末にはドキドキでした。

ベガスの経験のせいで、こんなことになったとも言えるけれど、その経験のお陰で助かったとも言えるわけで、そうやって人生は巡り巡るものかなーなんて、妙に納得できたりして。

美術館でテオに指輪を託す(その指輪を届けに行ってホービーに出会った)ウェルティを演じるのは、ロバート・ジョイ。私は「CSI:ニューヨーク」のシドが好きだったので、久々に彼の姿を見られて嬉しかったです。


The Goldfinch」(2019年アメリカ)

2020年11月 1日 (日)

レッド・スパロー

積ん録していたのをようやく見ましたが、結構面白かったです。

スパイの世界ってそういうものなのでしょうが、もはや誰が誰を裏切っているのか分からず、ドキドキしながら見ていました。
去年見たドラマ「リトル・ドラマー・ガール」を思い出しました。

ドミニカは必死で生き延びようとしているだけに見えながらも、一歩先を読む能力に長けていることも分かっており、米国と母国のどちら側にいるのか、はたまたどちらにつくかを巧妙に天秤にかけているのかも不明でした。

分かっているのは、真の意味で男を手玉に取る才能が優れていること。周囲をうまく利用しながら自らを押し上げていくところは、本当に感心しました。

冷酷な叔父のマティアス・スーナールツがいい味! 最初に「君と歩く世界」で見た時にはさして魅かれませんでしたが、「リリーのすべて」や、先日の「名もなき生涯」にも出ていたし、最近お気に入りになってきました。

主人公がバレリーナというので、バレエ曲が印象的に使われていたのも良かったです。

原作もあるようなので、機会があったら読んでみたいです。


Red Sparrow」(2018年アメリカ)

2020年10月25日 (日)

9人の翻訳家 囚われたベストセラー

そもそものシチュエーションから、ゾクゾクしちゃいました。
世界同時発売の人気小説のために、各国語の翻訳がが集められるのはいいとして、情報漏洩対策のために電子機器は没収され外界から隔離となれば、絶対何か起こりそうな雰囲気がアリアリで。

誰が完全管理の原稿を流出できたのか、翻訳作業当時の2か月前と、真実が明かされる2か月後の今が、並行して描かれ、少しずつ語られる内容から全貌が判明するのですが、怪しそうに見える人が犯人じゃないと思っていたので、早々にアレックスが一枚かんでるらしいことが示された時には、逆に驚きました。

真相の半分は予想していた通りでしたが半分だけだし、原稿を盗み出したテクニックが解説された時には、なるほどと感心しました。

映画の醸し出すトーンが、「鑑定士と顔のない依頼人」を思い起こさせましたが、こちらの方が展開を推測しづらかったし、想定外のどんでん返しも多く、ずっと楽しめました。

こんなサスペンスがあったかどうかはともかく、翻訳家を隔離して翻訳作業に当たらせるというのは、実際にダン・ブラウンの「インフェルノ」出版の際にあったことだそう。(その後の「オリジン」も同様らしい。)

ちなみに今回選ばれていた9人の翻訳家は、ドイツ語、イタリア語、スペイン語、ポルトガル語、ギリシャ語、デンマーク語、ロシア語、中国語、そして英語(原作はフランス語だから)。日本語は後回しかー?と思ってしまったのは私だけ⁈


Les Traducteurs」(2019年フランス・ベルギー)

2020年10月24日 (土)

ジュディ 虹の彼方に

往年のミュージカル・スター、ジュディ・ガーランドの伝記映画で、レネー・ゼルウィガーがアカデミー賞主演女優賞を見事受賞しました。

ハリウッドスターってだけでも大変なのに、子役時代から大人にすべてを管理され、ダイエットを強要されたり、睡眠障害を患ったりして、薬を与え続けられていれば、依存症になるのも当然ですよね。

ドリュー・バリモアなんかも同様で、ドリューはそれでも立ち直ったからすごいけれど、本人の意思はもちろん必要ながら、ジュディの時代は立ち直りを阻むようなスタジオシステムもあったのかなと思ったりしました。

映画では、デビューしたての10代の頃と、晩年の様子を交互に描いていて、”原因と結果”を示されているように見えました。

新しく出会った恋人とめでたく結婚し、子供たちと暮らせそうな目途もたった矢先に死んじゃったのは何で?と思ったけれど、期待していた契約は取れず、ラブラブだったはずの夫とも険悪になり、最後はボロボロだったんですね。
歌も演技も才能がありながら、当時の映画界の体制に潰された気がして、可哀想でなりません。


Judi」(2019年アメリカ)

2020年9月27日 (日)

1917 命をかけた伝令

ストーリーはいたって単純で、第1次大戦中に伝令の任務を与えられた2人の兵士が、敵地を抜けて味方の陣地までたどり着く1日を追ったもの。全編ワンカット撮影が話題になっていました。

過去にもワンカットで撮影された「バードマン」などありますが、劇場とその周辺だけで展開するあちらと異なり、戦場を駆け抜ける間に、爆発はあるわ、戦闘機は落ちてくるわ、急流に流されるわで、一体どうやって撮影したんだろうと感心することしきりでした。
きっと緻密な計算を基にカメラを回し、映っていない裏側では大忙しでセットを変えたり仕掛けを準備したりしていたのかなぁと。

それに、メインの2人がひたすら歩いたり走ったりするだけなのに、音響の効果が見事で飽きさせず、普段映画で音響を意識することなどないのですが、今回ばかりはその大切さに気づきました。アカデミー賞で録音賞を受賞したのも納得です。(撮影賞と視覚効果賞もだけど。)

先ほど単純なストーリーと書きましたが、最初の頃に伝令の一人スコフィールドが、なぜかわからない理由で、故郷に帰りたくないとかメダルを人にあげたとか言っているのですが、共に伝令となったブレイクの影響で、最後は必死に目的地にたどり着き任務を全うしようとする意識に変わる様子が描かれ、それがすごくいいと思いました。

要所要所で登場する上官たちの、コリン・ファース、マーク・ストロング、ベネディクト・カンバーバッチらも印象的。
また、ラストで出てくるブレイクの兄は、今見ているドラマ「ボディガード」のリチャード・マッデンでした。


1917」(2019年イギリス・アメリカ)

2020年9月26日 (土)

スキャンダル

今年4月に見たドラマ「ザ・ラウデスト・ボイス」のセクハラ・スキャンダル部分に焦点を当てた映画ですが、グレッチェンではなくケリーを中心に描かれていました。

しかもセクハラ訴訟自体についてはあまり説明されず、グレッチェンの訴えで事件が明るみに出た結果、当時のスター女性キャスターでトランプの大統領選討論会の司会も仕切ったケリーが、どう対応したかを見せていました。

先にドラマを見ていなかったら、この訴訟の経緯が分からなくて、ついていきにくかったかもしれませんが、きっとアメリカでは事件当時に散々報道されて誰もが事情を知っているので、改めて詳細を見せる必要もないという判断だったのでしょうね。

ドラマの後で見たせいか、私としては具体性に欠け肩透かしの感じがしなくもありませんでしたが、ドラマを見ていなかったら、これはこれで内幕ものとして純粋に楽しめたのかと、悩ましい限りです。

このテレビ界の大物ロジャー・エイルズを皮切りに、映画界のハーヴィー・ワインスタインのセクハラも明るみになったし、引いてはMe Too運動にもつながったかと思うと、グレッチェンの勇気に感謝します。

FOXのCEOマードックの息子ラクラン役で、今見ているドラマ「サバイバー」でも重要な役どころのベン・ローソンが出ていたのですが、もう一人の息子ジェームズ役はジョシュ・ローソンという名前で、演じる俳優同士も実の兄弟だと知りました。


Bombshell」(2019年アメリカ)

2020年9月13日 (日)

女神の見えざる手

アメリカ公開時に気になっていたのに、すっかり積ん録になっていた映画(そういうの多いけど)を、ようやく視聴しました。

ロビイストって議会の根回しの人としか思っていなかったけれど、あんな風に賄賂や脅しが行われているものなのでしょうか。銃規制の問題は確かに大きいので、力が入るのは分かるのですが。

エリザベスがあそこまでできるのがすごいけれど、だからこそロビイストとして抜きんでた存在になれたのかなと思います。

そんな彼女が銃規制側についたのは、エズメと同じようなモチベーションがあったのかと推測していたけれど、結局「勝つ」ことに拘っただけなのでしょうか。あまりに有能で全て成功してしまうので、不可能に挑戦したくなったのかもしれませんが。

欲目かもしれないけど、マーク・ストロングがエリザベスを引き抜くロビイスト会社のCEOで、ここでも相変わらずいい味。

また、リズについて移籍せず元の会社に居残る部下役のアリソン・ピルも、「ニュースルーム」と同様、印象に残りました。
エズメ役のググ・バサ・ローは、「マザーレス・ブルックリン」で見たばかりです。


Miss Sloane」(2016年フランス・アメリカ)

2020年9月 6日 (日)

マザーレス・ブルックリン

大好きな俳優の一人エドワード・ノートン(「僕たちのアナ・バナナ」)が監督・脚本・主演ということで、アメリカ公開時から気になっていた作品です。

1950年代のニューヨークが舞台で、私立探偵のライオネルが、恩人の死を捜査して街の悪事を暴きだすというストーリーだけでも面白いのですが、彼がチック症で、緊張すると変なことを叫んだりするので、時にハラハラしながら見ていたら、すっかり引き込まれました。

ノートンの人脈なのか、脚本に魅かれてなのか、名だたる俳優が勢ぞろいしていましたね。ブルース・ウィリス(ウェス・アンダーソン繋がり?)にアレック・ボールドウィン、ウィレム・デフォーなどなど。私の好きなダラス・ロバーツも出ていたし。

バックに流れるジャズも心地よく、硬派な感じのクライム・サスペンスがとてもいい雰囲気で、デニス・ルヘイン(「夜に生きる」)やジェームズ・エルロイ(「L.A.コンフィデンシャル」)が原作の映画と同じ香りがしました。

タイトルの意味が明らかになる後半のエピソードも良かった! ジョナサン・レセムの原作も読んでみたくなりました。


Motherless Brooklyn」(2019年アメリカ)

2020年8月24日 (月)

俺たちポップスター

アメリカで公開された時にはさして関心がなかったのですが、日本公開時の紹介記事を見て興味を引かれ、今回無料配信されていたのを機に見てみました。

ジャスティン・ビーバーの音楽ドキュメンタリー映画「ネバ―・セイ・ネバー」をもじったような原題からもわかる通り、アイドル歌手コナーの新曲プロモーション用ドキュメンタリーという設定です。

とにかく大物ミュージシャンの本人役出演が大量で、アダム・レヴィーンやP!NKとのデュエットはもちろん、マライア・キャリーやアッシャーらのインタビュー、シールに至っては狼に襲われたり(⁈)、笑えて楽しめました。

コナーの専属シェフにはジャスティン・ティンバーレイク。料理しながら歌うシーンでは、「歌手じゃないんだから」とダメ出しされ・・・。

下ネタも多く、基本おバカなコメディではあるのですが、ボーイズ・グループの友情と決別といったドラマな要素もあり、軽いノリで見られるパロディ映画としては期待以上でした。


Popstar: Never Stop Never Stopping」(2016年アメリカ)

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