映画

2020年5月28日 (木)

イエスタデイ

設定が面白いなと思って、アメリカ公開時から(イギリス映画ですが)気になっていた映画でした。
わずかな大停電の直後から、あのビートルズを誰も知らない世界になってしまい、売れないミュージシャンだったジャックが、自分の曲と偽って一躍スターになってしまう話。

「そもそもなぜビートルズだけ? ザ・ローリング・ストーンズは? レッド・ツェッペリンは?」と思っていたところ、ジャックも同じように考えたようで、ザ・ローリング・ストーンズをネット検索したら、ありました! でも、次に存在を調べたのがチャイルディッシュ・ガンビーノ⁈ なぜに?

ちなみに他にも、オアシスが存在してなかったり、音楽ばかりかコカ・コーラが無くてペプシだけだったり、後から続々と「実はなかった」アイテムが出てきて笑えました。

リアルなのは、有名曲でも細かい歌詞を覚えてなくて必死で思い出そうとしてたとこ。それと、シチュエーションに合わせて曲をリリースできるのは、ビートルズより役得ですよね。太陽一杯のカリフォルニアで「Here Comes the Sun」を歌ったり、モスクワの公演で「Back in the U.S.S.R.」を突然演奏したり。果ては、エド・シーラン(本人役)との即興対決で、「The Long and Winding Road」を選んだりしていました。

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2020年5月12日 (火)

なんだかおかしな物語

外出自粛ムードの中、平日夜や週末には家に閉じこもって映画を見るようになり(自粛じゃなくても見るのですが)、なぜかコメディを見る機会が増えました。多分、在宅が長期化して陰鬱な気分になりがちなので、バカバカしいコメディを求めているのだと思います。
記事にはしていませんが、このところずっとそんな映画を見ていて、こちらの映画もそんなおバカ映画だと思っていたら(ザック・ガリフィアナキスが出ているし)、予想と違いました。

主人公は自殺願望を拭いきれずに自ら精神科に入院を決めたクレイグ少年。もちろん病棟には変わった人たちがいますが、ガリフィアナキス扮するボビーは、彼等の中ではいたってマトモ。クレイグのよき兄貴分となり、生きる気力を失いかけてたクレイグが立ち直るのに一役買います。

出来すぎの展開ではあるのですが、青春ってこうだよなーと思えて、本人にとっては深刻なのでしょうが傍目には可愛らしくも見えるし、だから私は青春映画が好きなんだろうと思います。「Love,サイモン」や「スウィート17モンスター」なんかもそうだし。

むしろボビーの方が悩みは根深くて、人生も複雑で即解決とはいかないけれど、そんな彼を見ていたら、私ももっと前向きに生きなきゃなんて思ったりもしました。

精神科の医者役でヴィオラ・ディヴィスが出ていて、最初おバカコメディと勘違いしていたので、彼女の出演が不思議でしたが、思ったよりシリアスな話だったし、クレイグを優しく見守るいい先生だったので納得でした。


It's Kind of Funny Story」(2010年アメリカ)

2020年4月29日 (水)

天国でまた会おう

ピエール・ルメートル原作ということで、フランス映画祭で上映された頃から気になっていた映画を見ました。

エドゥアールは、厳しい父親の下で育ったとはいえ、戦死したことにして帰らないという決断をするなんて、相当のトラウマだったのでしょうか。虐待とかではなかったようだし、父親だけじゃなく優しかった姉に対してまで嘘をつくことになるのに。

とりなし役の母親が亡くなって、その悲しみの癒し方がそれぞれ異なったのが不運のはじまりかもしれませんが、エドゥアールが芸術家だったことを考え併せても、彼の繊細さが傷を深くしたのかなと思います。

一方のマイヤールは、経理畑の仕事に就いていたというのがイメージと違いましたが、銀行に勤めなければエドゥアールの目的達成に貢献できませんでしたからね。
演じるアルベール・デュポンテルは、「ロング・エンゲージメント」でもそうでしたが、ペーソス溢れるたたずまいが、もうそれだけで秀逸! セザール賞5部門受賞の本作品においても、俳優と兼務でこなした彼の監督賞は納得で、さすがの一言。

また、2人の軍人時代の上官プラデルが、これまた典型的な悪役ぶりでgood! 良心のかけらもない男を演じるロラン・ラフィットは、「エル/ELLE」といい、どーしてこんな役を選ぶのでしょう。「ミモザの島に消えた母」の時は良かったのに!

表面に見える事実と、裏に隠された事柄が明るみになるその後の展開のギャップは、まさに「その女アレックス」のルメートルらしく、最後まで楽しめた映画でした。


Au Revoir, Là-Haut」(2017年フランス)

2020年4月26日 (日)

奇蹟がくれた数式

ホテル・ムンバイ」を見た後で、見逃していたこちらのデヴ・パテル主演作も見たくなりセレクト。

学歴がないのに数学が強いっていうのは、マット・デイモンの出世作「グッドウィル・ハンティング」を思い出しますが、ラマヌジャンの場合は、1914年のインドですし、世に見出されたのはまさに偶然というほかはありませんよね。

今では皆が、インド人が数字に強いことを知っていますが、この頃は偏見と差別が根強く、インド人がイギリス人より優れていると認めたがらなかったのは、容易に察しがつきます。

独学であれだけの定理を考えつき、いくつかは証明もし、著名な数学者ハーディをうならせるほどの天才だったラマヌジャン。
イギリスの気候や食べ物が合わなくて健康を害したりしなければ、いったいどれだけのことを成し得たかと思うと、本当に残念です。

ラマヌジャンのケンブリッジ時代の同窓で、同じくインド人のマハラノビスに、「スタートレック ディスカバリー」のタイラーことシャザド・ラティフを発見!
また、ハーディと対立する教授でラマヌジャンのことも蔑む嫌な奴は、「ニュー・トリックス」のストリックランド役アンソニー・カルフです。


The Man Who Knew Infinigy」(2015年イギリス)

ベスト・オブ・エネミーズ

こちらも実話の映画化で、サム・ロックウェルが出演しているというのもあり、アメリカ公開時から注目していました。

1971年のノースカロライナで、クランズマンのC・Pと公民権運動家のアンが、最初は敵対していたものの最後には親しくなるという、嘘みたいな実話が基になっています。

シャレットというのは初めて聞きましたが、興味深いイベントですね。10日間徹底的に討論することで、妥協点を探るのが狙いのようですが、半分過ぎても平行線のままで、どうなることかと心配しました。

C・Pもアンも一向に仲良くなる様子はないし、最後にはうまくいくと分かっていても先が不安でした。
でも考えてみれば、対照的な2人の間にそんな簡単に友情が芽生えたら、それこそ嘘くさいですよね。徐々に徐々に互いを知り、同じ人間同士だってわかっていくところが、真実味があるなと思いました。

最近のサム・ロックウェルは、一見嫌な奴なのに最後には好感が持てるようになる役柄が多いように思います。「スリー・ビルボード」にしても、「ジョジョ・ラビット」にしても。
そんなひとクセもふたクセもある役の彼が大好きです。


The Best of Enemies」(2019年アメリカ)

ホテル・ムンバイ

実話好きの私がアメリカ公開時から気になっていた映画です。

最後に解決することはわかっていても、それまでに多数の死者が出たことも知っているので、どの人が助かってどの人が死んでしまうのか、ドキドキしながら見てしまい、本当にサスペンスフルでした。

「ユナイテッド93」を思い出しましたが、閉鎖された空間で犯人の顔も人数も分かっているあちら(それだって大変なんだけど)と異なり、ホテルは広いのでいくらでも歩き回って襲撃できるし、どこに潜んでいるかわからないし、かといって逃げる場所は限られるしで、ハラハラし通しでした。

実際の襲撃の様子がどの程度事実に基づいているのか、事情を知る生存者からどれだけ話を聞けたのか分かりませんが、若者がお金と宗教を理由に誘われて、欧米人の多い地区をターゲットにしたというのは本当なのでしょうね。

こういう映画を見る度に、今でも世界のあちこちで現状に不満を持つ人たちが、それをエサにしたテロ行為に加担していることを思い起こします。
平和を祈るのはもちろんですが、原因となる貧困や不平等を減らさない限り解決への道のりは遠いことを感じずにはいられません。


Hotel Mumbai」(2018年イギリス・アメリカ・インド)

2020年3月29日 (日)

トールキン 旅のはじまり

こちらも20世紀前半に活躍した小説家、あの「ホビット」や「指輪物語」の作者トールキンの伝記映画です。
そしてやはり、映画は見たものの原作には手をつけていなくて、作者の背景も全く知りませんでした。

両親を早くに亡くし、弟と二人、里親に預けられた彼は、現実から目を背けるためにファンタジーの世界に没頭したのかもしれませんが、学校では良き友人に恵まれたんですね。

皆、第一次大戦で従軍し、友情を続けられなかったのは残念ですが、ホビットたちが助け合いながら目的に向かって進む旅の仲間となったのは、この学友たちとの関係を投影させたのかなと思いました。

それに、同じ里親の下で育ち、大学進学中も想いを途切れさせることなく成就させた、エディスとの愛も微笑ましかったです。
「指輪物語」が「ニーベルングの指環」に着想を得たという話は聞いたように思うけれど、エディスのワーグナー好きから来ているというのは本当なのでしょうか。

こちらも、いよいよ原作に挑戦する機会を作らなければと思いました。


Tolkien」(2019年アメリカ)

コレット

この女流作家の名前は知っていましたが、映画化された何本かを見ただけで彼女の本を読んだことはなく、どういう経歴の人かも知りませんでした。

夫の名義でゴーストライターとして小説を書いていたと聞き、「ビッグ・アイズ」のような展開を想像し、「女の一生」のような虐げられた妻を思い描いていましたが、全く違いました。
最初は夫への愛から協力していたし、次には夫婦が互いに自由奔放な関係を謳歌するためもあり、この時代にしては随分と進歩的だったことに驚きました。

コレットは激情型で、小説から舞台へと興味が移っていくのも想定外でした。華やかな生活だったとはいえ、夫といつもセットの人生から逸脱し、小説を通してではなく自分だけを見てもらえる世界へ踏み出したかったのかもしれません。
その過程で新たな恋の相手を得、自分らしさを表に出せて幸せになったのなら、本当に良かったと思います。

読んだことがない彼女の私小説的な「クロディーヌ」シリーズや、映画で見ただけの「ジジ(恋の手ほどき)」や「青い麦」にトライしようかと考えていますが、まずは積ん録になっている映画「わたしの可愛い人-シェリ」を見るところからですね。


Colette」(2018年イギリス・アメリカ)

2020年3月22日 (日)

夜に生きる

公開時に気になっていた映画ですが、録画したまますっかり放置していて、今回ようやく見ました。
ギャングの生き様が私好みで、もっと早く見ればよかったと後悔しています。

舞台は禁酒法時代のアメリカ。「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」や「アンタッチャブル」などと同様、やっぱりこのジャンルが好きなんだなと改めて思いました。
ただ、ニューヨークでもシカゴでもなく、フロリダってところが珍しいですよね。

ラストはちょっと余談が多い気がして、私としてはもっと手前で終わりにしてもいいと思ったけれど、ストーリーを完結させるという意味では、すべての結末を見せるのもありなのかもしれません。

デニス・ルヘインの作品は、「ゴーン・ベイビー・ゴーン」や「シャッター・アイランド」と次々映画化されていますが、こちらの原作も読みたくなりました。ただ「ミスティック・リバー」の例もあるので、読んだ後で辛くなっちゃうかも。

ジョーの強盗仲間で頼りがいのあるディオンが気に入ったのですが、クレジットを見るまでクリス・メッシーナ(「ニュースルーム」)と気づかず、ショックでした。


Live By Night」(2016年アメリカ)

コンテイジョン

少し前に映画情報番組で、新型コロナウイルスの拡大を受けてこの映画のダウンロードが増えていると聞き、私も積ん録になっていた中から掘り起こして視聴しました。

詳細は伏せますが、ウィルスの発祥元や広がり方など、確かに今回とかなりシチュエーションが似ていました。最近よく耳にするワード「クラスター」や、潜伏期間・無症状の人など、今回のケースと比べて一々反応してしまいました。

恐らく、過去のSARSなどを参考に映画を作っているのだろうと思いますが、ここまで拡大し危機的状況が現実に起こるなんて、映画の作られた2011年に誰が想像しえたでしょうか。

わざと不安を煽る記者やワクチンを求めての誘拐など、フィクションならではの設定もありますが、免疫を持っているマット・デイモンといえども、地域封鎖が始まって逃げられず、スーパーの食品も底を尽きて苦労するのは、他の人と同じ。

願わくは、この映画のようにならないうちに事態が収束に向かいますように・・・。
と言いつつ、私自身も仕事柄テレワークがしづらく、毎日出勤しているので要注意です。ただ、週末を中心に外出は控えて、録画済の映画・ドラマをずっと見ているので、積ん録の消化率は少しずつ改善しています。


Contagion」(2011年アメリカ)


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