モーリタニアン 黒塗りの記録
グアンタナモで人権侵害となる拷問が行われていたのは聞いていましたが、想像以上でした。
まず、他の逮捕者の証言を信用して証拠も精査しないまま何年も拘束し尋問し、容疑も伝えられず弁護士もつけてもらえずにいたことに驚きました。
しかも、独裁国家や法整備の整っていない途上国ならいざ知らず、まさかアメリカがと思いますよね。
確かに9.11後に成果を上げたかったのも理解できるし、テロリストに復讐したい気持ちも分からなくはありませんが、普通の犯罪捜査でも行き過ぎた自白の強要があったり、BLM運動が起こったきっかけでもある黒人に対する警官の不当な暴力を考えると、公正や正義という言葉はもはや幻想なのかと思ってしまいます。
スラヒが怪しく見えたのは事実で、携帯の履歴を消したり、アルカイダの訓練に参加したり、知り合いの知り合い(この人がテロリストだったみたい)を家に泊めたといったことはあったのですが、一番の問題は、違法と認識した上で敢えてアメリカ国外の施設で拘束・拷問を行い、しかもそれを隠蔽しようとしたことだと思います。
そんな中、スラヒの弁護に当たったナンシーが、ジャーナリストの取材に答えて、テロリストを守るためではなく、あなたや私を守るためなのだと言った言葉が非常に印象的でした。
「The Mauritanian」(2021年イギリス)
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