ファーザー
今年のアカデミー賞で、前評判の高かったチャドウィック・ボーズマンを押しのけ、アンソニー・ホプキンスが主演男優賞を受賞した作品です。
私にも高齢になってきた両親がいるので、幸い2人ともまだまだ認知症の気配もありませんが、やはり人ごととは思えずに見てしまいました。
主人公アンソニーの視点で描かれているので、娘アンの現実の状況はどれが正しいのか、すぐに分かりませんでした。ある時は父を置いて恋人とパリへ行くと言い、ある時は夫ポールと何年も結婚していると言い、自分の住居に父を引き取って世話しており、仕事の忙しい彼女に代わって世話係を雇うと言い・・・。
娘の姿もオリヴィア・コールマンからオリヴィア・ウィリアムズに変わったりするし、夫(と思われる)ポールもマーク・ゲイティスなのかルーファス・シーウェルなのか、なかなか判断がつきませんでした。
まるでパズルのようで、どれが本当か分からずストレスフルで、見ていてどんどん苦しくなり、これが認知症本人にとっての現実なのだと理解して愕然としました。
近い将来を思い、かなり考えさせられた映画でした。
「The Father」(2020年イギリス・フランス)
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