サウンド・オブ・メタル
今年のアカデミー賞候補作で一番注目していた作品です。
耳が聞こえなくなるっていうのは、ただでさえ大変なのに、音楽を生業とする人が直面したら、自らの根幹に関わる問題なんでしょうね。
しかも、徐々に聴力を失うのなら、多少なりとも覚悟ができるでしょうが、ある日突然ほとんど聞こえない状態になったら、恐怖しかないと思います。
ルーベンの耳が急に変になって不安が広がっていく様子が、とてもリアルに描かれていて、コーヒーメーカーのコポコポいう音とか、自分にとって馴染みのある普段何気なく耳にしている音が聞こえなくなる状況が、うまく表現されていました。
恋人の勧めで聴覚障がい者のコミュニティを訪れたものの、手話のできないルーベンは皆の輪に入ることができずにいるのですが、子供たちの教育に参加するようになって、意識が少しずつ変わっていくところがいいと思いました。
ただ、手術で聴力を取り戻したい気持ちも捨てられなくて、コミュニティのリーダーで手術に否定的なジョーと対立しますが、ついこの間まで当たり前のように聞こえていた人が、その状態に戻りたい思いを諦めろというほうが酷かなと思います。
それでもラストでは、ジョーの言っていた静寂の意味をルーベンが理解したようなエンディングで、この終わり方も良かったです。
ルーベンを演じるのは、「ナイトクローラー」の頃から気になっている俳優リズ・アーメッド。ここでは髪をブロンドに染めていて、新鮮な外見でした。
また、恋人ルーの父親役でマチュー・アマルリックが出ていて、思わず「おおっ!」と叫んで喜びました。
「Sound of Metal」(2019年アメリカ)
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