天国でまた会おう
ピエール・ルメートル原作ということで、フランス映画祭で上映された頃から気になっていた映画を見ました。
エドゥアールは、厳しい父親の下で育ったとはいえ、戦死したことにして帰らないという決断をするなんて、相当のトラウマだったのでしょうか。虐待とかではなかったようだし、父親だけじゃなく優しかった姉に対してまで嘘をつくことになるのに。
とりなし役の母親が亡くなって、その悲しみの癒し方がそれぞれ異なったのが不運のはじまりかもしれませんが、エドゥアールが芸術家だったことを考え併せても、彼の繊細さが傷を深くしたのかなと思います。
一方のマイヤールは、経理畑の仕事に就いていたというのがイメージと違いましたが、銀行に勤めなければエドゥアールの目的達成に貢献できませんでしたからね。
演じるアルベール・デュポンテルは、「ロング・エンゲージメント」でもそうでしたが、ペーソス溢れるたたずまいが、もうそれだけで秀逸! セザール賞5部門受賞の本作品においても、俳優と兼務でこなした彼の監督賞は納得で、さすがの一言。
また、2人の軍人時代の上官プラデルが、これまた典型的な悪役ぶりでgood! 良心のかけらもない男を演じるロラン・ラフィットは、「エル/ELLE」といい、どーしてこんな役を選ぶのでしょう。「ミモザの島に消えた母」の時は良かったのに!
表面に見える事実と、裏に隠された事柄が明るみになるその後の展開のギャップは、まさに「その女アレックス」のルメートルらしく、最後まで楽しめた映画でした。
「Au Revoir, Là-Haut」(2017年フランス)
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