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2020年4月

2020年4月29日 (水)

天国でまた会おう

ピエール・ルメートル原作ということで、フランス映画祭で上映された頃から気になっていた映画を見ました。

エドゥアールは、厳しい父親の下で育ったとはいえ、戦死したことにして帰らないという決断をするなんて、相当のトラウマだったのでしょうか。虐待とかではなかったようだし、父親だけじゃなく優しかった姉に対してまで嘘をつくことになるのに。

とりなし役の母親が亡くなって、その悲しみの癒し方がそれぞれ異なったのが不運のはじまりかもしれませんが、エドゥアールが芸術家だったことを考え併せても、彼の繊細さが傷を深くしたのかなと思います。

一方のマイヤールは、経理畑の仕事に就いていたというのがイメージと違いましたが、銀行に勤めなければエドゥアールの目的達成に貢献できませんでしたからね。
演じるアルベール・デュポンテルは、「ロング・エンゲージメント」でもそうでしたが、ペーソス溢れるたたずまいが、もうそれだけで秀逸! セザール賞5部門受賞の本作品においても、俳優と兼務でこなした彼の監督賞は納得で、さすがの一言。

また、2人の軍人時代の上官プラデルが、これまた典型的な悪役ぶりでgood! 良心のかけらもない男を演じるロラン・ラフィットは、「エル/ELLE」といい、どーしてこんな役を選ぶのでしょう。「ミモザの島に消えた母」の時は良かったのに!

表面に見える事実と、裏に隠された事柄が明るみになるその後の展開のギャップは、まさに「その女アレックス」のルメートルらしく、最後まで楽しめた映画でした。


Au Revoir, Là-Haut」(2017年フランス)

2020年4月26日 (日)

Take Two/相棒は名探偵

レイチェル・ビルソンとエディ・シブリアンがコンピを組む犯罪捜査ドラマで、全然期待してはいなかったのですが、とりあえず見始めました。

テレビドラマで刑事役だった俳優が、実地の捜査に参加って設定は、まんま「セレブ探偵カーター」だし、ドラマで得た知識を生かすところや、軽いノリのまま解決できちゃうところも一緒。
でも、気楽に見られるドラマを求めている時にはお役立ちなので、最終話まで見続けました。

確かにサムとエディは互いに能力を補い合って、いいコンビなのは認めるし、それぞれの助手も魅力的。
サムの助手モニカが何にでも詳しいのは出来過ぎですが、普通はゴスっぽい格好なのに、大学の指導教授に会いに行った時には、超マジメ女子に変身していて笑いました。

ラストで、サムとエディがくっつくのもお約束。なので、1シーズンで終了しても惜しくはありませんが、こういう時の例に漏れず中途半端なまま終わったのが、すっきりしなくて心地悪かったです。


Take Two」(2018年アメリカ)

奇蹟がくれた数式

ホテル・ムンバイ」を見た後で、見逃していたこちらのデヴ・パテル主演作も見たくなりセレクト。

学歴がないのに数学が強いっていうのは、マット・デイモンの出世作「グッドウィル・ハンティング」を思い出しますが、ラマヌジャンの場合は、1914年のインドですし、世に見出されたのはまさに偶然というほかはありませんよね。

今では皆が、インド人が数字に強いことを知っていますが、この頃は偏見と差別が根強く、インド人がイギリス人より優れていると認めたがらなかったのは、容易に察しがつきます。

独学であれだけの定理を考えつき、いくつかは証明もし、著名な数学者ハーディをうならせるほどの天才だったラマヌジャン。
イギリスの気候や食べ物が合わなくて健康を害したりしなければ、いったいどれだけのことを成し得たかと思うと、本当に残念です。

ラマヌジャンのケンブリッジ時代の同窓で、同じくインド人のマハラノビスに、「スタートレック ディスカバリー」のタイラーことシャザド・ラティフを発見!
また、ハーディと対立する教授でラマヌジャンのことも蔑む嫌な奴は、「ニュー・トリックス」のストリックランド役アンソニー・カルフです。


The Man Who Knew Infinigy」(2015年イギリス)

ベスト・オブ・エネミーズ

こちらも実話の映画化で、サム・ロックウェルが出演しているというのもあり、アメリカ公開時から注目していました。

1971年のノースカロライナで、クランズマンのC・Pと公民権運動家のアンが、最初は敵対していたものの最後には親しくなるという、嘘みたいな実話が基になっています。

シャレットというのは初めて聞きましたが、興味深いイベントですね。10日間徹底的に討論することで、妥協点を探るのが狙いのようですが、半分過ぎても平行線のままで、どうなることかと心配しました。

C・Pもアンも一向に仲良くなる様子はないし、最後にはうまくいくと分かっていても先が不安でした。
でも考えてみれば、対照的な2人の間にそんな簡単に友情が芽生えたら、それこそ嘘くさいですよね。徐々に徐々に互いを知り、同じ人間同士だってわかっていくところが、真実味があるなと思いました。

最近のサム・ロックウェルは、一見嫌な奴なのに最後には好感が持てるようになる役柄が多いように思います。「スリー・ビルボード」にしても、「ジョジョ・ラビット」にしても。
そんなひとクセもふたクセもある役の彼が大好きです。


The Best of Enemies」(2019年アメリカ)

ホテル・ムンバイ

実話好きの私がアメリカ公開時から気になっていた映画です。

最後に解決することはわかっていても、それまでに多数の死者が出たことも知っているので、どの人が助かってどの人が死んでしまうのか、ドキドキしながら見てしまい、本当にサスペンスフルでした。

「ユナイテッド93」を思い出しましたが、閉鎖された空間で犯人の顔も人数も分かっているあちら(それだって大変なんだけど)と異なり、ホテルは広いのでいくらでも歩き回って襲撃できるし、どこに潜んでいるかわからないし、かといって逃げる場所は限られるしで、ハラハラし通しでした。

実際の襲撃の様子がどの程度事実に基づいているのか、事情を知る生存者からどれだけ話を聞けたのか分かりませんが、若者がお金と宗教を理由に誘われて、欧米人の多い地区をターゲットにしたというのは本当なのでしょうね。

こういう映画を見る度に、今でも世界のあちこちで現状に不満を持つ人たちが、それをエサにしたテロ行為に加担していることを思い起こします。
平和を祈るのはもちろんですが、原因となる貧困や不平等を減らさない限り解決への道のりは遠いことを感じずにはいられません。


Hotel Mumbai」(2018年イギリス・アメリカ・インド)

2020年4月23日 (木)

ザ・プラクティス

14年前にシーズン1とシーズン2の最初の2話まで見たところで止めてしまったこちらのドラマ。動画配信サービスで無料だったため、久々にシーズン2を改めて見たところ、見事にはまりました。

以前見た時に止めてしまったのは、手段をいとわず有罪の依頼人を守るやり口に辟易してしまったことが挙げられますが、私も幾多のシリアスなドラマを見て鍛え上げられたので今回は抵抗ありませんでしたし、シーズン2では比較的真っ当な裁判が多かったと思います。

それに、当時は同じデビッド・E・ケリーの「アリー my ラブ」や「ボストン・リーガル」が好きで、コメディ半分のリーガル・ドラマに馴染んでいたせいもあるでしょうが、シーズン2ではコミカルな場面も多々見られ、先の二つのドラマに匹敵する笑える裁判もありました。

「アリー my ラブ」の2人が出てくるエピソードもありましたが、この時はシリアスな事件でしたね。
ヘレンがアリーのスカートの短さを指摘するシーンがあって、確かに短くてビックリしたけど、脚がきれいなので羨ましかったです。

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2020年4月16日 (木)

ザ・ラウデスト・ボイス

FOXニュースCEOのスキャンダルは、映画にもなったので気になっていましたが、映画より一足先にこちらのドラマを見ました。
ドラマのほうは、スキャンダルだけでなく、FOXニュース立ち上げ時からのエイルズの後半生を見せていました。

FOXニュースといえば、トランプ御用達とばかり思っていたのですが、最初の頃はトランプに叩かれていたんですね。エイルズがバリバリの共和党で、擁護し続けた結果だったのだと知りました。

エイルズの行動を正当化するつもりはありませんが、CEOとして局を視聴率No1に押し上げた能力は評価します。
ただ、メディアがその見せ方を匙加減して、事実の一部を誇張したり、不都合な部分を見せなかったりして情報操作することの危うさを実感しました。

ジャーナリズムへの問題提起は、以前見た「マザー・ファーザー・サン」や「ニュースの真相」などでも感じましたが、いわゆるフェイクニュースが話題になる現代ならではのテーマですよね。

映画「スキャンダル」でも、辻さんがアカデミー賞を受賞したメイクアップが話題になっていましたが、こちらのドラマも、グレッチェン役のナオミ・ワッツやエイルズの妻役シエナ・ミラーが、本人に似せるためのメイクで顔が変わって見えました。
また、でっぷり太ったラックロは、「バイス」のクリスチャン・ベイルといい勝負で、こちらも驚きました。

マイケル・ムーアの「華氏119」で、トランプ政権の前から分断の下地はできていたと知りましたが、FOXニュースとロジャー・エイルズもその一端を担っていたのだと思いました。
原作となった本(筆者のジャーナリストもドラマに登場)も読んでみたくなりました。


The Loudest Voice」(2019年アメリカ)

2020年4月13日 (月)

ニュー・トリックス シーズン5&6

今回集中放送された2シーズンをまとめてコメントします。

犯罪捜査絡みではあるのですが、今回はメンバーに関係する様々な出来事が起こりましたね。

まずはジャックの奥さんのひき逃げ事件。犯人は明白なのに裁判で勝てずに釈放されちゃっていた男を、無事取り押さえました。
また、ブライアンのアルコール依存症が復活してしまいましたが、克服できたようだし、リハビリ施設入所中の事件もちゃっかり解決しました。

驚いたのはジェリーで、実は改名していて、フランスにルーツを持っていたことが判明。若い頃の危ない生活も垣間見えて、その後の展開を知っている私としては心配しました。

そしてサンドラ。お父さんの事件を追っていたけれど、家族の話が予想外の局面になった第6シーズン最終話でした。

第8シーズンからファイナルまでを見ちゃっているので、その時に過去の話として触れられていた事柄が穴埋めされ、私にとってはかなり要となったシーズンでした。

未視聴の残りもあと1シーズン。早く放送してくれないかなーと、今から待ちきれません。


New Tricks」(2009年イギリス)

2020年4月11日 (土)

エレメンタリー ファイナル

とうとうファイナルとなりました。

最終シーズンは全13話と短めでしたが、終了がわかっていたからか、原点回帰した感じで、六つのナポレオン像に悪魔の足、ライヘンバッハと最後の事件を思わせる展開など、原作を想起させるものがいくつもありました。

最近では「スタートレック ディスカバリー」でバルカン星人を演じていたジェームズ・フレインが、今シーズンの敵役でしたね。

連邦保安官に転職するはずのベル刑事は、グレッグソン警部が撃たれた上、国の雇用凍結のせいで(⁉)、市警に居残りしていました。
ホームズ父も久々出てきて、せっかく親子仲直りできたかに見えたのに、残念な結果に・・・。

シーズンが短かった分、中身は濃かったと思いますが、最終話は単なるまとめと後日談ってだけだったので、個人的には最後の事件で終わりにしてくれても良かったかな。
でも、泣いても笑ってもこれでおしまい。全体的には満足しています。


Elementary」(2019年アメリカ)

2020年4月10日 (金)

フランス絶景ミステリー コレクション 4

こちらのシリーズも4期目。相変わらず様々な犯罪捜査ドラマの寄せ集めですが、関心を持って見続けられています。

大体においては同じパターンで、よそから来た(でも実は地元出身だったりする)警部や警視(最近は女性が多い)と地元警察官がコンビを組み、最初は反発し合うけれど最後は事件解決と同時にカップルになるって筋書き。

そんな中で興味を引いた回を挙げてみると、まずはコルマール。「ワイン探偵」のピエール・アルディティが医者役で、ヒエロニムス・ボス風な祭壇画にまつわる事件を追います。
もう一つはトゥールで、女警視が息子でもある神父と聖遺物に関する犯罪で捜査協力します。

面白いのは、同じ俳優が散見されること。先のトゥールで女警視だったイザベル・オテロが、エクス島やモサーヌ・レ・ザルピイユにも出ていて、息子の神父役がエクス島では刑事だったり、同じくモサーヌ・レ・ザルピイユなどの警視ジャンサックがやはりエクス島の回に出ていたり。

その他、最近見ているドラマからは、「アート・オブ・クライム」のニコラ・ゴブの出ているヴェルコールに、「バルタザール」のデルガド刑事のいたロレーヌ、「ミステリーinパラダイス」のキャサリンが出たロシュフォールの話も。

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2020年4月 4日 (土)

ナイト・マネージャー

随分前のエミー賞授賞式で気になっていたトムヒ主演のドラマですが、視聴局で放送されたので、ようやく見ました。

正体を隠して敵の組織に潜り込むという設定は、去年見た同じル・カレ原作の「リトル・ドラマー・ガール」に通じます。但しこちらは、政治思想が中心の時代と異なり、武器商人相手の現代らしいスパイ作戦でした。

いくら子供を救ったとはいえ、ローパーがすぐにパインを信用するのはあり得ないように思いますが、自分を疑う取り巻き連中をうまく排除しながら、右腕に登りつめていくパインは、見ていて爽快でもあります。

ただ、いつバレるかとヒヤヒヤだったのも事実で、サスペンスすぎが苦手な私は、一挙放送だったのに休み休みの視聴になり、見終えるのに時間がかかってしまいました。
最終話になってようやく、安心して見ることができました。

トムヒの他に、敵役のヒュー・ローリー(「Dr.House」)も好きな俳優ですが、「女王陛下のお気に入り」(見たけど記事は書かずじまい)でアカデミー賞主演女優賞を受賞したオリヴィア・コールマンが出ていて、妊婦にもかかわらず任務にまい進する役が良かったです。


The Night Manager」(2016年イギリス・アメリカ)

2020年4月 1日 (水)

Songland

何気なく見始めた番組ですが、思いの外、楽しめました。

洋楽は日頃聞いているものの、その制作過程に興味を持ったことはなく、才能のある人が自在に作っているものと思っていましたが、今回様々なことを学びました。

歌詞よりも耳に残るメロディーが重要なことや、そのメロディーもどう盛り上げるかにかかっていたり、編曲や使う楽器でいかようにも印象を変えられたりすること、そういった要素をうまく組み合わせることがヒットに繋がるのだと分かりました。

ゲストも、チャーリー・プースやメーガン・トレイナーのような最近の売れっ子から、ジョン・レジェンドやウィル・アイ・アムといった大御所まで、誰も曲には困っていないと考えていたけれど、新鮮なアイディアを一様に求めているんだなと思いました。

4つの候補曲の中から1曲を選ぶ構成ですが、そもそもの4曲をどう選んでいるのかが気になりました。歌うアーティストのイメージなどで、選ばれる曲も変わってくるので、最初の候補からある程度意識しているのかなと。

今まで深く考えずに耳にしていた楽曲を、今後は少し違った視点で味わえそうですし、シーズン2もどんなゲストが登場するのか楽しみです。


Songland」(2019年アメリカ)

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