« 2019年10月 | トップページ | 2019年12月 »

2019年11月

2019年11月23日 (土)

ブラック・クランズマン

去年のカンヌ映画祭でスパイク・リーがグランプリを受賞した作品ですが、期待に違わずとても楽しめました。

まず冒頭から一気に引き込まれました。白人至上主義の演説を陳腐に演じるアレック・ボールドウィンは、最近ではトランプの物まねが好評を博していますが、1970年代が舞台の映画でありながら、トランプを皮肉るようなシーンがその後も何度も出てきました。

特に、デューク(架空の人かと思ったら、主役の刑事だけでなく彼も実在でした)が暴力一辺倒のKKKから脱却し、政治的に差別をあおろうとするやり方に対し、ロンが「そんな人が国民に選ばれるわけない」って言うところ。

デューク率いるKKKの集会と、ブラックパンサーを支持するパトリスの集会を交互に見せるところも、まさに現代で起こっている分断を感じさせました。

ロンの代わりにKKKに潜入したフィリップが、最初はユダヤ人意識が低かったのに、捜査の過程で自分のアイデンティティを再認識するのもいいですね。
黒人だけでなく、色んな差別がテーマになっているなと思いました。

人種問題を扱っていても、主義主張を声高に叫ぶのではなく、コメディのオブラートに包んで見せているのが見事だと思いました。
でも最後は、2017年のシャーロッツビルの映像が流れて現在の状況に引き戻され、考えさせられました。


BlacKkKlansman」(2017年アメリカ)

2019年11月17日 (日)

キリング・イヴ シーズン2

集中放送された第2シーズンを見ました。

先日のエミー賞授賞式でジョディ・カマーが主演女優賞を受賞したことからも分かるように、ヴィラネルは前シーズンに増して魅力的でしたね。

シーズン2では、易々と殺人をやってのけるサイコパスというだけ(それだけですごいんだけど)でしたが、今シーズンは、イヴに対する愛情が仕事(趣味?)を上回り、暗殺そっちのけでイヴを付け回し、イヴはそれを逆手にとって別の事件の捜査に彼女を引き込み、より関係が複雑化したのが面白くて、ほぼ一気見しました。

クリミナル・マインド」なんかもそうだと思うのですが、優秀な捜査官が犯罪者の行動を読み解けるのは、自らも犯罪者の立場になって考えられるからだと思います。
その結果、イヴも善悪の線引きが難しくなったり、ヴィラネルの存在にエッチな気分になって夫や同僚をダシに使ったりと、2人の心理が融合していってる感じから目が離せませんでした。

前シーズンのラストとは逆のパターンで今シーズンは終了。でも第3シーズンもあるので、また2人の愛憎相半ばする関係が続くのでしょう。


Killing Eve」(2019年イギリス)

ジ・アメリカンズ シーズン3

第3シーズンも順調に見終えました。
シーズンが進んで深いところまで描けるようになったせいか、今まで一番面白く感じました。

理由の一つは、フィリップが本部の指示で無条件に動くことに疑問を感じ始めたこと。娘ペイジをスパイ2世にしたくなかったり、15歳の少女を騙して利用することに抵抗を覚えたりして葛藤します。

もう一つは、ニーナがロシアに送還されてどうなるかと思ったら、ロシアでのニーナの様子を見せることで、ドラマに幅が広がったところ。刑務所での生活から、釈放を条件に任務を遂行する姿まで、当時のロシアの感じがわかって、興味深かったです。彼女はそのうちアメリカに戻ってくるのかな?

エリザベスが死期の迫った母親に会いに、東側へ向かうところも良かったですね。ペイジを連れて、家族の絆を見せられ、感動的に終わったと思いきや、意外な展開で・・・。

忙しくてなかなか一気見できませんが、近いうちに残りのシーズンも見て行きたいと思います。


The Americans」(2015年アメリカ)

2019年11月16日 (土)

宇宙探査船オーヴィル

セス・マクファーレンが製作・主演したSFコメディの第1・第2シーズンを続けて見ました。

最近すっかりトレッキーと化した私には嬉しいスタトレのパロディ的作品で、2419年頃が舞台。妻に浮気され離婚したエドがオーヴィルの船長に任命されますが、副長として元妻が配属されます。

セス・マクファーレンの人脈なのでしょう、映画スターが大挙ゲスト出演し、 シャリーズ・セロン(「荒野はつらいよ」)にリーアム・ニーソン(同じく「荒野はつらいよ」に「テッド2」)、テッド・ダンソン(「テッド」)などは友情出演なのかな?と思ったり。
極めつけは元妻が浮気した相手として登場したロブ・ロウ! 青い顔の異星人だけど、フェロモン出まくりで相手が抵抗できないんだって・・・。

クルーの中では、小柄で可愛い顔なのに怪力のセリア人アララちゃんがお気に入りだったのですが、確執のあった両親(父親はスタトレファミリーのロバート・ピカード)と和解して故郷に戻ってしまいました。

続きを読む "宇宙探査船オーヴィル" »

アート・オブ・クライム シーズン2

美術をテーマにしたフランス産ドラマの第2シーズンを見ました。
捜査そのものに目新しさはありませんが、毎回画家が一人ずつピックアップされて、名画の見方を紹介してくれるのが楽しめます。

昨シーズンの記事でも書いたように、最初の事件で取り上げられたのは、私の大好きなモネ!
彼の絵画が泥棒に盗まれ、ゴミ収集車に投げ込まれ、ズタボロになった時には驚きましたが、模写だったと判明しました。

前シーズンではフロランスと父親の関係に焦点が当たっていましたが、今シーズンはアントワーヌと父親の関係で、彼の美術オンチは幼少時の父親のせいであることが明らかに。
いくら何でもフランスに生まれ育って、あそこまで美術に無知ってあり得るのかと疑問に思っていたけれど、トラウマがあったんですね。

2つ目の事件ではクールベが、3つ目はヒエロニムス・ボスがテーマで、私は昨年ドキュメンタリー「謎の天才画家」を見たので、このボスの事件はとても興味深く感じましたし、ヒエロニムスはフランス名ではジェロームだと知りました。

このドラマはシーズン4まで決定されているそうで、次シーズンの1話目は、ドガの「踊り子」が事件の鍵のようです。
放送されたら引き続き見たいと思います。


L'Art du Crime」(2018年フランス)

2019年11月 4日 (月)

シカゴ・ファイア シーズン6

今シーズンも見終わりましたが、何だか恋愛話に終始していた感がありました。

まず、「シカゴP.D.」でも書いたシルビーとアントニオ。それにギャビーの元カレにクルーズの元カノ、ケリーの元カノも登場し、それぞれ波風を立てて去っていきました。

それから局内政治も、もう一つの大きな流れで、ケリーの恩人且つ父の友人(「ザ・ホワイトハウス」や「グッド・ワイフ」にも出ていたゲイリー・コール)が絡んだ話は、来シーズンも続きそうです。

シリーズが長くなってくると、いろんな要素を詰め込みたいのは分かるのですが、皆がくっついたり離れたりするのは「グレイズ・アナトミー」みたいだし、出世にまつわる駆け引きはどの組織でもありますが、「マダム・セクレタリー」のような政治ドラマ以外で大きく取り上げるのははあまり見たくなくて、私にはイマイチなシーズンでした。

唯一、本来の消防士ドラマらしいエピソードは、同僚を亡くして意気消沈するハーマンの話で、このドラマの持ち味が活かされていました。

笑ったのは、ケイシーが近所のオーストラリア人にラグビー観戦に誘われた(しかもちょうどW杯で話題のオールブラックス戦)とギャビーに話すシーン。オーストラリア訛りを真似てギャビーにダメ出しくらうんだけど、ジェシー・スペンサーはオーストラリア人でしょ。わざと下手に発音するのも大変だなーと思ってしまいました。


Chicago Fire」(2017~2018年アメリカ)

2019年11月 3日 (日)

ホット・ゾーン

エボラ発生の話と聞いて、昔見た映画「アウトブレイク」を連想しましたが、こちらは実話に基づいたドラマだし、現代にも通じるリアルな見せ方にもなっているだろうと思いながら見始めました。
最初の頃はスリリング過ぎて、見ているこちらまで緊張し、休み休み視聴しました。

1989年にナンシーたちがアメリカでエボラの拡散を必死に食い止めようとするストーリーと並行して、1976年にアフリカで初めてエボラが確認された時の話も描かれていました。

何事も最初は準備不足で対応が後手後手に回るけれど、大きな被害を出すことなく封じ込めに成功したのは、ひとえにナンシーたちの尽力の賜物だなと実感しました。

近年では実験的ワクチンがうまく効果をあげて、致死率は下がったと思いたいけれど、ドラマの中でも言われていたように、ウィルスは耐性をつけて変異するので、完全に安心はできませんよね。
そのために日々戦っている医師や科学者の皆さんには頭が下がります。

エボラだけでなく未発見のウィルスを含め、完治や感染防止そのものは難しくても、せめて発症せずにコントロールできるようになってくれたらと切に希望します。


The Hot Zone」(2019年アメリカ)

薔薇の名前

以前お薦め映画として紹介した同名映画は何度も見てストーリーを熟知していますが、ドラマとなれば、よりじっくりと描かれるだろうしと思って、見てみました。

映画の方は修道院で起こる連続殺人の犯人探しに焦点が当てられて、2時間強の枠内でうまくまとめていたと思います。
こちらのドラマでは、ミステリーの側面だけでなく、この当時の異端審問の世界を詳しく見せていて、そちらに興味を引かれました。

異端とされたドルチーノ派の信者の様子と、ドルチーノの娘が復讐のためにベルナール・ギーを追う展開は、映画にはなかった要素でした。
原作ではきっと、ミステリーと同じかそれ以上に、この異端審問がキーポイントとなっているのでしょうね。

ウィリアム修道士のライバルであるベルナール・ギーも、映画では終盤に近い頃に出てきて、あっさり死んじゃった(ネタバレですみません)のですが、ここでは2人の確執の深さが良く分かりましたし、ラストも映画とは違って、複雑な状況を感じました。

というわけで、ずっと手を出してなかった原作にも近々挑戦し、異端審問の世界にどっぷり浸りたいと思っています。


The Name of the Rose」(2019年イタリア・ドイツ)

« 2019年10月 | トップページ | 2019年12月 »