炎のランナー
新春「お薦めシネマ」の第3弾は、アカデミー賞作品賞受賞作で、ヴァンゲリスのテーマ曲も有名なこちらの作品です。
ハロルドの葬儀で挨拶をするアンディが、ハロルドと初めて会った日のことを振り返ります。1919年ケンブリッジに入学したハロルドは、アンディやオーブリー、スタラードと共に、ケンブリッジの4人組として、陸上競技で注目されていました。
同じ頃、ラグビー選手で宣教師を目指していたエリックが、スコットランドの短距離走で名を馳せます。神に授かった速い足で神を讃えるために走るエリックの姿を見て、ユダヤ人としての自分を示すために走っていたハロルドはショックを受けます。
第8回(1924年)パリ五輪の選手たちの実話に基づくストーリーで、20年ぶり4回目の視聴ですが、何度見ても感動します。今ではすっかり商業化してしまったオリンピックの、素朴な競技会だった頃の様子にとても和みました。
と同時に、ユダヤ人であることの風当たりが強かった時代、2つの大戦に挟まれた時期にあって、自己を主張することに目標を見出してきたハロルドの気持ちもよくわかりました。
そして、対照的なエリック。その信仰の深さは、五輪の予選が安息日の日曜だったので棄権を決めたことからも明らかですが、解決策がスポーツマンシップを感じさせて、心に残りました。
その解決策を提案するアンディが、登場する選手の中で一番好きだったのですが、実話に基づく映画なのに、この部分は創作みたいで、アンディも実在の人じゃないみたいです。
アンディを演じるのは、「太陽の帝国」も印象的だったナイジェル・ヘイヴァース。ハロルド役ベン・クロス(「スター・トレック」)や、エリック役イアン・チャールソン(「ガンジー」)もいますが、今回気づいたのは、4人組で一番可愛かったオーブリー役のニコラス・ファレル!
最近では「刑事フォイル」で、フォイルを調査する名目でヘイスティングスにやって来るコリアーという役で出ていましたよね。
その他、ハロルドのコーチをするマサビーニ役イアン・ホルム(「ロード・オブ・ザ・リング」の老ビルボ)や、ケンブリッジの学長ジョン・ギールグッド(「オリエント急行殺人事件」)、五輪のアメリカ選手パドックのデニス・クリストファー(「ジャンゴ 繋がれざる者」)らが出ています。
余談ですが、パリ五輪で日曜日に走らないというエリックを翻意させようとする王室の人物は、字幕では「殿下」としかなかったけれど、当時のプリンス・オブ・ウェールズ、「英国王のスピーチ」のバーティの兄、「ウォリスとエドワード」のエドワード8世でしたね。実際に、エリックを直接説得したのかは不明ですが・・・。
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