ルノワール 陽だまりの裸婦
引き続き、フランスを代表する芸術家の伝記を見ましたが、偶然こちらも1915年の南仏が舞台でした。
老齢の画家オーギュスト・ルノワールの元に、亡き夫人に紹介されたという若い娘デデがやってきて、彼の絵のモデルになります。ルノワールは精力的に「浴女たち」の制作に取り組み始めますが、そんな折、戦争で負傷した次男のジャンが復員してきます。そして、父の制作を手伝ううちに、ジャンはデデに魅かれます。
ルノワールの伝記と思って見始めましたが、実際は、ルノワールと息子ジャン、モデルのデデの3人に焦点が当たり、しかも誰か一人の視点で描かれているわけではなく、3人以外に末っ子のクロード目線のような時もあり、その「ぶれ」というか一貫性のなさが結構気になりました。
ただ、ルノワールの制作過程の特徴や、絵に対する姿勢を知ることはできて、それは興味深かったです。
画家というのは、じっとしているモデルを描くものと思っていましたが、彼はモデルが動いていても平気だし、服を着ている女性を見ながらでも裸婦画を描けるのは、一度目に焼き付けたら後は不要なのか、それとも想像力で補っているのでしょうか。また、黒い絵の具は不要というスタンスも面白いと思いました。
息子のジャンが、後にフランス映画史初期に名を残す、「大いなる幻影」や「ゲームの規則」などの名監督ジャン・ルノワールであることは知っていましたが、デデのお陰で映画製作に興味を持ったとは!
確かに劇中でも、映写機を修理したり、フィルムを買って上映したりしていましたが、父親のモデルだったデデと結婚し、女優志望の彼女のために映画を作ったんですね。
ちなみに、後半でちょこっと出てくるだけの長男ピエールも俳優で、「天井桟敷の人々」にも出ていたそうです(どこだったんだろう…? もう一度見なくちゃ)。
画家ルノワールには、「めぐり逢う朝」で見たばかりのミシェル・ブーケ。末っ子クロードは、これまた「少年と自転車」で見たばかりのトマ・ドレ。ラストで出てくる、ルノワールの昔のモデルだったガブリエル役で、「野性の夜に」のロマーヌ・ボーランジェも出ています。
また、ジャン役ヴァンサン・ロティエという人は初めて見ましたが、若い頃のエドワード・ノートンによく似ていて、ちょっとドキドキでした。
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