ボヴァリー夫人とパン屋
フランス映画祭2本目はこちら。
ノルマンディーの小さな村でパン屋を営むマルタンは、向かいに引っ越してきた若いイギリス人夫婦の名前がチャーリーとジェマ・ボヴァリーと聞いて、フロベールの小説に出てくるシャルルとエマ・ボヴァリーに重ね合わせます。
ジェマのことが気になるマルタンが様子を伺っていると、彼女はまさにボヴァリー夫人のように、田舎暮らしの退屈さを、エルヴェとの情事で紛らわせ始めたようでした。
フランスが誇るギュスタヴ・フロベールの「ボヴァリー夫人」を下敷きにした、なかなか面白い話でした。原作がイギリス人の手によるからか、主要人物としてイギリス人が何人も出てくるので、半分くらい英語の会話でしたが。
ジェマの名前が違っていたら、マルタンは小説のボヴァリー夫人と結び付けず、彼女に注目して不倫に気づいたりしなかったようにも思うけれど、どうでしょうか。
ただ、ジェマの行動そのものは、名前が似ているかどうかにかかわらず、普遍的に誰にでも起こりうると思うので、そういう意味では、それほど「下敷き」とは言えないかもしれません。
マルタン役のファブリス・ルキーニ(「屋根裏部屋のマリアたち」)はピッタリなキャスティングだと思いましたが、ジェマ・アータートンはフランス映画に出るイメージがなかったので、不思議に思っていました。実際、この映画に出るまでフランス語はできなかったそうだし。
でも、過去に見た彼女の出演作は「プリンス・オブ・ペルシャ」や「ヘンゼル&グレーテル」など、あまりセクシーさを感じさせなかったのに、フランス人監督の手にかかるとそうなのか、この作品ではとても官能的でセンシュアルではありました。
結末の付け方が予想してなくて驚きましたが、ラストはもう笑いすぎて泣いたほど。それまで目立たなかったマルタンの息子ジュリアンが、最後にかましてくれました!
ルキーニ、アータートンの他、ジェマの浮気相手エルヴェには、先日見た「胸騒ぎの恋人」で二コラ役だったニールス・シュナイダー。
監督は「ココ・アヴァン・シャネル」のアンヌ・フォンテーヌ。彼女の監督作で、いつもコメントをくださるうわさんお薦めの「美しい絵の崩壊」も早く見なくては!と思いました。
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ようさんすごい!一日で3本も観られたのですね。
若いころは私もはしごしましたが・・・今は一日一本が限度かな;
この作品も気になってましたが、アンヌ・フォンテーヌ監督作なのですね。
確か、チネチッタで秋に公開なので絶対観たいと思います。
投稿: うわさん | 2015年6月28日 (日) 12時20分
はい、1日で3本見ましたが、今回の映画祭はトータルで5本見る予定です。
。
明日の「チャップリンからの贈り物」も行きますよ。
うわさんは確か神奈川在住でしたよね?
私は都内なので、普段から有楽町近辺の映画館にはよく行きますし、
梯子も特に苦にならず…。
とはいえ、一日3本は、仏祭ぐらいです
投稿: たちばな・よう | 2015年6月28日 (日) 21時16分
三本観て、感想もその日に書いちゃうとはパワフルですね★
映画って集中力と体力がいるから、三本はすごいなぁ。
はい、神奈川です。ようさんは都内なのですね。
演劇やミュージカルも好きなので、有楽町は年に何回かは行きますよ。
チャップリンご覧になるんですね~ようさんに会いたかったです。
・・・って厚かましいか;
仏祭は横浜時代は見放題のパスカードを買ったことがあったけれど、
一日4本見たことがあって、フランス映画は内容が重いのが多いので結構地獄でしたね~(笑)
投稿: うわさん | 2015年6月29日 (月) 12時14分
うわさん、こんばんは。返信が遅くなってごめんなさい。
やはり連日の映画館通いが祟って、疲れてPCに向かう気になれず…。
仏祭も終わってしまって、「燃え尽き症候群」かも?
まだ、「チャップリン…」の感想記事も書けていませんが、
後でうわさんの感想も教えてくださいね。
あ、そうでしたね、せっかくの機会にお会いすればよかったですね。
次の機会にぜひ会いましょう。
横浜の時はパスカードなんてあったんですね。
横浜開催時代は、私は地方に住んでいた頃だったので、行ったことないんです。
投稿: たちばな・よう | 2015年7月 1日 (水) 22時40分