ベラミ 愛を弄ぶ男
こちらもフランスの作家モーパッサンの小説が原作です。
1890年パリ。除隊後貧しい生活を送っていたジョルジュ・デュロワは、戦友のフォレスティエと偶然再会し、彼の口利きで新聞記者となり、社交界へ出入りするようになります。美男子の彼は、フォレスティエの妻マドレーヌの助けを借りて記事を書き、マドレーヌの友人クロチルドや、新聞社の社長夫人ヴィルジニーにも取り入って出世を狙います。
原作もずいぶん前に読みましたが、私の持っている主人公のイメージとずいぶん違いました。私の思うジョルジュ=ベラミはしたたかで無軌道だけど、ロバート・パティンソンは線が細いせいか、「トワイライト」シリーズの吸血鬼の印象が大きすぎるせいなのか、常に憂いを秘めたような眼差しで、強さを感じさせませんでした。
「ハリー・ポッター」で最初に見た時は、確かにかっこいいと思ったけれど、今回はさしてイケメンにも見えなかったし。
また、原作のジョルジュは、女を利用してのしあがっていく様がある意味小気味よかったり、自信家と劣等感がせめぎ合い、可愛げのある時もあったりと、好感が持てる要素もありましたが、映画のジョルジュは、何の能力もないくせにプライドだけ高く、女性に助けてもらいながらも粗末に扱う嫌な奴。最初は、マドレーヌが見込んでサポートするぐらいだから、美形以外の何か隠れた才能を見出してのことなのだろうと思っていたのですが、残念ながらマドレーヌの見込み違いでした。
でも、マドレーヌがジョルジュの性質をよりしたたかに助長させたというのもあるでしょう。マドレーヌにも愛人がいたし、ジョルジュを打算的に利用した部分もあるので、彼が不満に思うのもわからなくはありませんでした。貧しさ故に苦労した彼が、美男子という唯一の取り柄を利用して出世したいという野心を持ったのは必然なのかもしれません。
ベラミを取り巻く女性たちには、マドレーヌ役ユマ・サーマンや、クロチルド役クリスティーナ・リッチ、そしてヴィルジニー役のクリスティン・スコット・トーマスと豪華でした。
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