映画

2019年4月20日 (土)

Love,サイモン 17歳の告白

悩み多き高校生が、更に人に言えない性的指向で悩んでいたら、一層大変だろうなと思います。

LGBTQへの風当たりは昔ほどではなくなったと思うけれど、それは大人の世界の話であって、ティーンエイジャーはただでさえ様々なことで、いじめやからかいの対象にしてしまうし、サイモンが周囲になかなか告白できなかったのも当然です。

そんな中、ゲイの仲間と秘密のやり取りをするうちに彼に恋心を抱き、でもそれが周囲にバレそうになってごまかしていたら、嘘がどんどん広がっていって収拾つかなくなるというのは、典型的ではあるものの青春だなぁって感じで、優しく見守りたくなりました。

私は残念ながら、ゲイでもなく、もはや高校生でさえないので、推測するだけなのですが、カミングアウトできないティーンエイジャーに勇気を与える映画だと思いました。

そして、ゲイ以外にもいろんな悩みを抱える同級生たちに影響を与えたサイモンの言動は、どんな問題であれ皆同じように疎外感を覚えたことがあり、自分ひとりじゃないんだというメッセージに繋がる気がしました。


Love, Simon」(2018年アメリカ)

2019年4月14日 (日)

バトル・オブ・ザ・セクシーズ

この世紀の試合のことはもちろん、2人のテニス選手、ビリー・ジーン・キングとボビー・リッグスのことも、映画化されるまで知りませんでした。

なので、この試合だけの話かと思っていたら、試合がクライマックスではあったものの、ビリー・ジーンの人物像が深く描かれていて、ウーマンリブが台頭し始めたこの時代に、女性の平等な権利を求めて闘った人なのだと知りました。

ボビー・リッグスという人は、実際にもあんなにおちゃらけていたのでしょうか。それに、いくら相手が女性だからって、55歳の自分が29歳の現役トッププレーヤーと戦って勝てると思っていたのでしょうか。

もちろん、その前に別の女性プレーヤーと試合してストレート勝ちしたから、甘く見たというのもあるでしょうし、当時まかり通っていた女性蔑視の影響で、どんな条件であれ女が勝てるわけないと過信してもいたのでしょう。

今でも完全に平等な世の中になったとは言えないけれど、それでも私が子供の頃に感じていた女性であることの歯がゆさみたいなものはなくなりました。

それは、ビリー・ジーンを始めとする先人たちが闘ってきてくれたからであり、彼女たちに感謝すると同時に、その勇気を尊敬します。


Battle of the Sexes」(2017年アメリカ)

2019年3月24日 (日)

ウィンド・リバー

アメリカ公開時に気になっていた映画です。

先住民居留地の事件を捜査する話ですが、ジェレミー・レナーが保安官か何かでエリザベス・オルセンが捜査に協力する現地住民かと思っていたら全く逆で、よそから来たFBIの若い女性を事情通の地元ハンターがサポートするという設定でした。

でもなぜ私が予告映像を見て誤解したかというと、ハンターのコリーは遺体の第一発見者というだけでなく、被害者が娘の親友だったので、父親の頼みもあって自ら積極的に捜査を進めたからなんですね。

それ以外に、コリーの個人的な事情も理由としてありました。
映画のテーマは犯人探しではなく、事件によって過去を思い出すコリーの心情と彼の行動に主眼が置かれていた気がします。

なので、犯人は誰かというミステリーを想像していた私には、後半の展開が予想外でしたが、こういうタイプの映画が結構好きなので、これはこれで良かったです。

一面真っ白な世界が神秘的で、その清廉さと事件の醜さが対照的でした。
コリーが「雪と静寂しかない」と言っていたけれど、舞台となったワイオミング州は、人口密度がアメリカで2番目に低い(1番はアラスカ!)らしく、FBIがなかなか派遣されないのも事実に即しているんだろうなと思いました。


Wind River」(2017年アメリカ)

2019年3月23日 (土)

ボストン・ストロング

2013年のボストンマラソン・テロに巻き込まれ、両足を失ったジェフ・ボーマンの実話映画化です。

パトリオット・デイ」では犯人を追い詰める捜査機関の様子が描かれていましたが、逮捕して事件解決のあちらと異なり、被害に遭った人たちや家族にとっては、これで終わりということのない苦難の人生なのだと思い知らされました。

いろんな映画で主人公に寄り添う恋人や配偶者を見てきましたが、ジェフを支えるエリンの場合は、自分のせいだという考えが捨てきれなかったのではないかと思います。

もちろんテロを起こしたのは彼女じゃないし、マラソンに参加する彼女が来てくれと頼んだからジェフがあの場にいたにしても、応援する位置がもう少しずれていたら違う結果になったかもしれないわけで、こればっかりは不運としか言いようがありません。

でも、ジェフがユーモアを忘れない人だったのが救いだし、自分の運命と使命を見定め受け入れて前向きに生きようとする姿に、私もまた勇気をもらいました。


Stronger」(2017年アメリカ)

2019年3月 9日 (土)

グリーンブック

知人が劇場に映画を見に行った話を聞いたら自分も久々に行きたくなり(何せ「スリー・ビルボード」以来1年1か月ぶり!)、先日アカデミー賞作品賞を受賞した作品を見てきました。

はじまりへの旅」のキャプテン・ファンタスティックなヴィゴ・モーテンセンが、ここではでっぷりお腹(あれだけ食べてりゃあの体型も納得)でショックでしたが、愛妻家な上に自らの差別意識を正すことのできるトニーは、好感の持てる魅力的な人でした。

自らを変えたのはトニーの方だけでなく、彼を雇った音楽家のドク・シャーリーも同じ。トニーに影響されて、黒人とも白人とも相容れない孤独感から解放され、自らのアイデンティティーを受け入れ居場所を見出すことができました。

ロードムービー好きで実話好きなので期待通り楽しめましたが、ラストで泣くという話も聞いたけど私は泣くことはなく、むしろコミカルで笑いの多い作品だと感じました。
監督が「メリーに首ったけ」やジム・キャリーのコメディなどで鳴らしたファレリー兄弟の片割れだけに、主人公2人の掛け合いが軽妙でした。

多分、人種差別を真っ向から描くと暗くて重いトーンになり過ぎなのを、とっつきやすく幅広い観客にアピールできる映画になっていて良かったかなと思います。


Green Book」(2018年アメリカ)

2019年2月20日 (水)

ボヘミアン・ラプソディ

日本で大ヒットしているのは知っていたし、クィーン世代ではあるのですが、映画館まで見に行くかは悩んでいて、旅行で飛行機に乗った時にちょうど機内映画にあったので見ました。

予想以上に感動的だったし、フレディが最後まで愛していたであろうメアリーとの関係や、フレディを親身に思っているかに見えたポールの裏切りなど、クィーンの楽曲やバンド活動以外の話も興味深かったです。

と同時に、フレディ自身の出自や性的指向に関する葛藤と自分らしさを認めた生き方など、当時は否定的に見られた要素も自然に受け入れられる世の中になったからこそ、自己を肯定する勇気を彼にもらえた人たちを通して評判になったのかなと思ったりしました。

最後の方は結構涙ぐみ気味で、隣の席のお兄さんに不審がられてないかなと思いつつ、観客参加型劇場で一緒に歌いたい人続出なのも納得のコンサート模様を含め、とても楽しめた映画でした。

ラミ・マレックは「ナイト・ミュージアム」シリーズのエジプト王やドラマ「ミスター・ロボット」(私は数話で挫折)などに出ていますが、フレディのイメージはなかったので、最初キャスティングを聞いた時には疑問を持ちましたが、実際に見たらピッタリはまっていました。


Bohemien Rhapsody」(2018年イギリス・アメリカ)

2019年1月26日 (土)

不都合な真実2:放置された地球

前作は映画館で見たのですが、もうあれから10年も経ってしまったんだと驚きました。

身近なところでも気候変動の影響は如実に現れ、未曽有の災害がこれでもかと起きています。こんな状況でも温暖化を認めない人たちの心理は理解できません。

そんな世の中で、ゴアさんの活動も何度も挫折を味わい、一進一退を繰り返して、それでも前に進もうとする姿勢には感心するばかりです。
せっかくパリ協定で陰の立役者として参加国の合意を取り付けたのに、トランプ政権で逆戻り・・・。

かくいう私も、では何を具体的に実行しているかというと、CO2を排出しないような行動を人並み以上に心掛けているとは言えず、もっと色々と実行しなければいけないかなと反省しました。

ちょうど直近でジェラルド・バトラー主演の「ジオストーム」を見て、あちらはパニックアクションではありますが、将来起こらないとも限らない異常気象の設定に寒気を感じました。
強い使命感の下に地球の危機を訴えるゴアさんの声が大勢の耳に届き、映画のような事態になりませんようにと願いました。


An Inconvenient Sequel: Truth to Power」(2017年アメリカ)

2019年1月14日 (月)

ワンダー 君は太陽

年始に書いた通り、今年は映画記事を厳選するつもりですが、第1回としてこちらの作品の感想をアップします。

顔に障害のある少年が主人公の話と思っていましたが、実際には彼だけでなく、姉やその友達の視点でも描かれていました。

障害のある子が大変なのはもちろんですが、周囲でサポートする人たち、特にまだ自身も子供で悩みを抱え、甘えたり我儘言ったりすることもできずにいる子が、人知れず苦労している様子にスポットが当たるのが良かったです。

姉のヴィアは、弟オギーの視点で話が進んでいる時から、両親の関心が弟に集中しているのを可哀想に思っていたら、彼女の視点での話が始まり、脇役に追いやられていなかったのに救われました。

オギーが好奇の目にさらされるのは仕方がないとしても、子供って何かしら欠点を見つけていじめの対象にするものだし、彼だけじゃないんだよって教えてあげたいと思っていたら、ちゃんとそれを姉が伝えていたことにも感激しました。

姉弟も友達もそれぞれティーンエイジャーらしい壁に突き当たりながらも成長し、ハッピーエンドになっていくのが、微笑ましく感動的でした。


Wonder」(2017年アメリカ)

2018年12月26日 (水)

ローマ法王になる日まで

クリスマス当日は、現ローマ法王フランシスコの伝記映画を見ました。

歴代法王の経歴を把握しているわけではありませんが、これほどの体験をした人は他にいないのではないでしょうか。
司教の中には、何不自由なく神の道を歩んできた人もいるでしょうが、アルゼンチンで生まれ育ち、貧しい人達の姿を間近に見てきたホルヘ・ベルゴリオ神父の苦労をまざまざと感じました。

と同時に、世慣れていて政治的駆け引きにも長けている様子を見て、彼の場合そうならざるを得ない環境にいたこともありますが、逆にそんな能力に秀でていたからこそ政情不安な世界で出世できたのだろうとも思いました。

でも、決して自分の利益だけを追求したわけではなく、貧しい人達を助けるために奔走し、その結果、一時は田舎司祭へと追いやられてしまいましたが、やはり正しい道を行く人は、いつかその行為が認められるということなんでしょうね。

ちょうどこの映画を見た直後、クリスマスミサで説教する法王のニュースを見て、感慨深かったです。
聖職者になった直後に日本への派遣を願い出たものの叶わなかったという場面もありましたが、来年にはいよいよ来日するそうですからね!


Chiamatemi Francesco」(2015年イタリア)

2018年12月22日 (土)

復活

クリスマスを含む連休期間中は、宗教に絡んだ映画を見ようと思い、まずはこちらの作品をセレクト。

キリストの磔を指示したのがポンテオ・ピラト提督だというのは知っていましたが、死刑を実行した人たちのことは考えたこともありませんでした。

ピラトの部下で司令官のクラヴィウスという人は、実在なのでしょうか? 少なくとも、復活したイエスを慕う弟子たちに混じって、一緒に旅をしたっていうのは創作っぽいですけれどね。

でも、ローマ軍に追われる弟子たちを、軍人のクラヴィウスが助けて逃げ方を教えるのはまだしも、自分の副官ルシウスが皆を見つけた時に、彼を諭して見逃させるっていうのは出来すぎかなとも思いました。

クラヴィウス役のジョセフ・ファインズは、格好のせいもあるでしょうが、ちょっと「エクソダス」のクリスチャン・ベイル風でした。
ルシウス役トム・フェルトン(「第1級殺人」)の方が、私は気に入りました。


Risen」(2016年アメリカ)

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