映画

2019年8月18日 (日)

ファースト・マン

アームストロング船長が月面着陸に成功してちょうど50年。それを記念してというわけでもなかったのですが、こちらの映画を見ました。

アームストロングや、一緒に月に降り立ったバズ・オルドリンのことはもちろん知っていましたが、「アポロ13」で描かれた以外に宇宙計画の詳しい話はほとんど知らなかったので、とても興味深かったです。

また、アームストロングが娘を亡くして失意にあったことや、NASAのジェミニ計画に参加した数少ない民間人だったこと、そして冷静沈着で生真面目な性格の人(オルドリンは逆にかなり軽い感じ)だったことを知りました。

ドリーム」でも見たようにソ連に追いつけ追い越せでプレッシャーのかかる中、新技術飛行では仕方ないのですが事故で仲間が次々と命を落とし、辛いこともたくさんあっただろうと思います。
でも、彼が船長だったからこそ実現できた偉業なのだと実感しました。

最近の伝記は、ある一時期を切り取った形式が多いけれど、これはジェミニ計画参加の当初からずっと順に追っていて、アームストロングのすべてを知るという意味では良かったのですが、映画の構成としてはイマイチ工夫に欠けているように見えたのが残念です。

「アポロ13」のジム・ラヴェルもちょこっと出てきていて、あちらの映画も久しぶりに見返したくなりました。


First Man」(2018年アメリカ)

2019年7月28日 (日)

ブレス しあわせの呼吸

実話ベースの映画はいつも感動しますが、こちらも良かったです。

ポリオで四肢麻痺になったロビンと、献身的な介護をする妻ダイアナの話ですが、1960年代に当時は珍しい障害者のQOL向上に貢献しました。

普通なら諦めて終生病院で過ごすことになるところを、自宅介護に踏み切ったところがすごいですが、ロビンが青空やツタの絡まる家の壁を見た時の喜びは計り知れず、「病は気から」の言葉を思い出しました。

たとえ余命宣告されても、生きる希望が湧けば体の調子が改善する可能性はあるし、少なくとも家族に囲まれて幸せに過ごすことはできますよね。
とはいえ、自宅での装備がきちんとしてなければ無理なわけで、決断には相当勇気が要ったろうと思います。

妻だけでなく周囲のサポートも強力で、特にベビーカーを見て車椅子を思いついたロビンの発明を現実にした友人には感心したし、こうやって技術は進歩していくんだって、まさに「必要は発明の母」だと実感しました。

監督は「猿の惑星」シリーズなどのアンディ・サーキス! 「ロード・オブ・ザ・リング」&「ホビット」のゴラムとか、モーション・キャプチャー俳優のイメージが強いですが、監督業にも進出したんですね。

映画でも描かれていたロビンの息子ジョナサン・カヴェンディッシュが製作していると思ったら、プロデューサーが本業の人らしくて驚きました。父親の映画を作りたくて初めて映画製作したわけじゃなかったんですねー。


Breathe」(2017年イギリス)

2019年7月22日 (月)

アメリカン・レポーター

期待せずに見始めたのですが、思いの外いい映画でした。

ティナ・フェイ主演なのでコメディと思い込んでいたけれど、全体的にはシリアスで、女性ジャーナリストが実際にアフガニスタンで取材していた時の出来事が原作の映画らしく、現地の状況が良く分かりました。

忘れられた戦争とか、ニュースがないと干されるリポーターの焦りとか、そんな現実をまざまざと突き付けられ、考えさせられる話でした。

最初は下ネタがきついのに抵抗がありましたが、逆にそうやって下ネタの応酬をしなければやり過ごせない生活だったのかと思ったりも。

どうせならコメディ要素を排除して、もっとシリアス一辺倒のほうがいいのではと思ったりもしましたが、原作自体もこういうトーンなのでしょうか。
残念ながら翻訳はされていないみたいで、原語で読む気力が持てそうか思案中です。


Wiskey Tango Foxtrot」(2016年アメリカ)

2019年7月 7日 (日)

アイ・イン・ザ・スカイ

近年の戦争ではドローンが重要なツールになっているのは知っていましたが、リアルな軍事作戦を取り扱ったこの映画を見ていたら、まさに要のテクノロジーなのだと認識しました。

しかも私は、普段ニュースで見るような、模型飛行機や円型のドローンを想像していましたが、ここでは鳥だったり虫だったり、周囲に溶け込む作りになっていて、間近で見たら気づくのかもしれませんが、遠目だったら絶対分かりませんよね。

瞬時に判断を下さなければならない軍人の大変さもつくづく感じました。
一つの決定の遅れが次なる問題を引き起こし、それに対処している間にまた次の問題が起きてしまうという事態を見ていたら、即時決行の重要性と難しさが良く分かったし、たとえそれが間違っていたとしても、後から批判はできないと思えました。

軍人の上官を演じたアラン・リックマンの遺作だそうで、エンディングで彼を偲んでいました。


Eye in the Sky」(2015年イギリス)

2019年6月30日 (日)

Le Mystère Henri Pick

帰りの機内で見た映画の中では、ファブリス・ルキーニ主演のこちらの作品が良かったです。

ルキーニは「危険なプロット」や「ボヴァリー夫人とパン屋」など文芸に絡む映画が多いですが、ここでも謎の作家を突き止めようと奔走する文芸評論家を演じています。

事の始まりは、若い編集者ダフネが偶然見出した小説を出版してベストセラーとなったことで、亡くなった小説家が本当の作者なのか疑ったジャン・ミシェルが、父親を作者と信じる娘ジョゼフィーヌと共に彼の過去を探っていきます。

謎解きの要素と、ジャン・ミシェルとジョゼフィーヌの関係、そして編集者のダフネと夫との私生活などをうまく融合させたストーリーが飽きさせませんでした。

最後の種明かしは疑問の残る点も多くて、納得の結末とは言えませんでしたが、全体的には楽しめたのでOKです。


Le Mystère Henri Pick」(2019年フランス・ベルギー)

Grâce à Dieu

5年ぶりにフランスへ行く機会があり、例によって機内映画を何本か見たのですが、その中から印象に残った2本をピックアップします。

まずは行きに見た映画の中から、実際に起こった事件を基にしたフランソワ・オゾン監督、メルヴィル・プポー主演の作品です。

スポットライト」ではボストンの神父児童虐待を告発した新聞社の話でしたが、こちらはフランスで「バルバラン事件」と呼ばれている一連の出来事を扱っています。

メルヴィル・プポーは主演といっても前半だけで、実際には3人の男性の行動を順に描いています。アレクサンドルは最初に訴えを起こした人物でしたが後半は引き気味で、被害者の会を立ち上げたフランソワと、その会によって見つかった被害者の中で重要な役割を担ったエマニュエルに話の中心は移っていきました。

信心深いアレックスは、神父の個人攻撃に収まらず教会そのものを批判するフランソワ達についていけなくなったのでしょうが、それぞれの立場も理解できるので、そういう意味で3つの視点にしたかったのかなと思いました。

教会に限らず児童虐待は社会問題ですが、隠ぺい体質ということで考えるなら、教会が一番深刻なのかなと思います。
とにかく被害の連鎖が起きないように、解決と再発防止に向かっていってほしいと願っています。


Grâce à Dieu」(2018年フランス・ベルギー)


追記:この映画の製作は昨年ですが、今年3月にプレイナ神父の虐待を隠ぺいしたとしてバルバラン大司教が有罪となりました。

そのニュースについてはこちら(AFP):https://www.afpbb.com/articles/-/3214732

2019年6月23日 (日)

ピッチの上の女たち

1960年代にフランスで初の女性サッカーチームを作った実話を基にしたコメディです。

何についてもそうですが、初めてのことって偏見と障害があって苦労しますよね。女性は家の中のことをしていればいいとか、男のようにスポーツができるわけないとか、お堅い頭の男性たちに阻まれながらも、女子リーグ創設に向けて奮闘した人たちには頭が下がります。

コーチのポールは、映画の中では自己中男で、別に女性サッカーを発展させようと思っていたわけでもなく、目先の利点だけでチームを立ち上げたように見えましたが、実際はどうだったのでしょうか。

でも、どういう理由で始めたのであれ、最終的には女性たちと共に戦ってくれた男性がいたのだろうと思います。

折しもフランスで女子サッカーのW杯が開かれており、日本代表も活躍中ですが、先人たちの軌跡に感謝しながら、勝敗を見守りたいと思います。


Comme des Garçons」(2018年フランス)

2019年6月16日 (日)

海へのオデッセイ

スキューバダイビングという言葉はすっかり一般化していますが、ジャック・クストーらが開発した潜水用呼吸装置「スクーバ」から来ているとは知りませんでした。

発明でリッチになった後も、海への探求をやめられず調査し続けた人なんですね。今でこそ海洋ドキュメンタリーはありふれた番組ですが、当時は彼の映画やテレビ番組も、未知の世界に対する驚きを持って迎えられたのでしょう。

本作は父ジャックと同時に息子フィリップについても描かれており、父親以上に冒険心あふれた息子が、父親を追い求めながらも途中で道を違え、けれども父の元に戻ってくるという、親子の絆を見ることができました。

そして、フィリップの影響もあって環境問題に目を向けるようになったジャックや、2人の亡き後も孫たちが引き続き環境活動に従事していると知って嬉しくなりました。

フィリップを演じるのは、先日「婚約者の友人」で見たばかりのピエール・ニネ。私はもともと彼の外見があまり好みではなかったのですが、見慣れたせいか少しずつ好きになってきました。


L'Odysseé」(2016年フランス・ベルギー)

2019年6月 8日 (土)

婚約者の友人

記事にしてはいませんが、今年も6月は例年通りフランス映画を集中視聴しています。
こちらのフランソワ・オゾン監督作は、期待以上に良かったので、感想をアップしたくなりました。

全編モノクロだけかと思ったらカラーのシーンもあって、最初は回想シーンがカラーなのかと思いましたがそういう訳でもなく、主人公の心情による区別なのかなと思ったりも。
いずれにしてもその変化が自然で、ふと気づいたらモノクロからカラーに変わっていた(あるいはその逆)という感じでした。

ドイツ人兵士フランツの友人だというフランス人の嘘と真実は、最初から見抜けますが、フランツの家族に知られるのは最後のほうかと思っていたので、意外に早く事実が明らかになった時には、後半の展開がどうなるのか非常に興味をかき立てられました。
そして、ミステリータッチの入った後半のストーリーは、その期待に十分応えてくれました。

テーマは要するに反戦ということなのでしょうね。敵味方に分かれていても、双方同じ立場で戦争に向かい、家族を失ったという・・・。

ラストシーンのカラーは印象的で、このためにモノクロを多用していたのかと納得しました。


Frantz」(2016年フランス・ドイツ)

2019年5月26日 (日)

ペンタゴン・ペーパーズ

昨年のアカデミー賞ゴールデングローブ賞にノミネートされていた、メリル・ストリープとトム・ハンクス共演の作品です。

発行人のケイは、創業家とはいえこの時代に女だてらに新聞社を切り盛りしてすごいなと思いました。
メディアとしての役割の重要性と、政治家と近しくなって批判しづらい立場との狭間で苦悩するのも理解できたし、最終的に英断した彼女の勇気は称賛に値します。

舞台となるワシントン・ポストはウォーターゲイト事件の報道紙ですが、その前からこんな風に政治の嘘を暴露していたんですね。
ベトナム戦争の戦況に対する偽りの報告を内部告発するエルズバーグは、「スノーデン」を思い起こさせました。もちろんこちらのがずっと先ですが。

ケイの友人でもあり厳しい立場に立たされたマクナマラ長官は、「フォッグ・オブ・ウォー」を見ていたので、隠ぺいはよくないとは思うものの、どうしても同情的に解釈してしまいました。

ウォーターゲイト事件の告発者ディープスロートを扱った最近の映画もありますが、私は久々に「大統領の陰謀」を見たくなりました。


The Post」(2017年アメリカ)

より以前の記事一覧

その他のカテゴリー