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2017年4月

2017年4月30日 (日)

グレート・ビューティー/追憶のローマ

もちろん「ピウス13世」を見た影響で、ソレンティーノ作品を見たくなり、こちらの映画をセレクト。

初恋の人が亡くなったと知って動揺する初老の男の話と聞いていましたが、訃報は出来事の一つでしかなく、主人公が老いを感じて複雑な心境になる姿を描いていました。

作家として名声を得、怠惰な生活を送ってきたジェップが、虚しさを感じるにしては65歳は些か遅すぎる気もしますが、芸術家ってそんなものかもしれませんね。
ただ、歳を取るということは、どんな人にも平等に訪れるものだと改めて思いました。

もっと劇的な出来事が次々起こるのかと思ったら、意外に淡々と日常を見せているだけなので、人によっては物足りないと感じるかもしれません。
私は、「ビフォア・ミッドナイト」と同様、作家仲間が集まった席での討論が刺激的なのが、ヨーロッパの映画だなぁと思いました。

一昔前は、フランス映画だけでなくイタリア映画も、名だたる監督を列挙できたのに、最近はちょっと元気がない気がするので、ソレンティーノには久々の有望監督としてイタリア映画を牽引していってほしいです。


La Grande Bellezza」(2013年イタリア・フランス)

2017年4月29日 (土)

ピウス13世 美しき異端児

このブログでも再三書いているように、私は一話完結の話が好きで、これは連続ドラマだからと最初は関心がなかったのですが、予告で見たジュード・ロウの妖しい魅力にくらくらとなりhappy02、見てみることにしました。

そうしたら、すごく面白くて、見て正解でした。一挙放送だったので、集中力をとぎらせることなく見られたからというのもあります。

カトリック教の教皇ポストを巡るドロドロの画策を描いていながらも、美形の教皇と絵画のような美しい映像がいい意味でのミスマッチで、醜い争いには見えませんでした。

其処此処にあるコミカルなテイストも、ドロドロ緩和に一役買っていました。
シスター・メアリーが夜中に起こされた時に着ていたTシャツに、「I'm a virgin but this is an old shirt」の文字があったり、オーストラリアから贈られたカンガルーが、庭に放し飼いになっていたり。

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2017年4月28日 (金)

LION/ライオン ~25年目のただいま~

久しぶりに映画館へ行き、「アカデミー賞授賞式」の時から見たいと思っていた、こちらの映画を見ました。

インドで迷子になり、オーストラリアへ養子に貰われた少年が、グーグルアースで故郷を見つけた実話と聞いて、便利や楽しいという以上の現代テクノロジーの意義深さを感じましたが、実際に映画を見たら、簡単に探せたわけではなく、かなりの苦労の末だったと知りました。

自分のフルネームも母親の名前も、生まれ育った町の名でさえきちんと覚えていない年齢で、それでも幼い頃の記憶を頼りに、よくぞ見つけましたという感じですが、自らのルーツやアイデンティティーに対する執念なのかなと思いました。

もちろん、親が死んだわけでも捨てられたわけでもなく、迷子になっただけという事情から、実母にどうしても再会したいという強い気持ちが一番の原動力だったのでしょうが。

それにしても、彼は本当に幸運でしたよね。迷子になった後で怪しいところに連れられることもなく、孤児院の劣悪な環境に長く置かれることもなく、養い親の愛情を一杯に受けられたからこその話でしょうし、逆にそんな幸運に恵まれないたくさんの子供たちのことを思い起こす教訓でもあると思いました。

タイトルの意味が最後にわかるのも粋でした。


Lion」(2016年オーストラリア)

2017年4月25日 (火)

しあわせはどこにある

シリアスな映画が続いたので、ほのぼの系を見たくて、こちらをセレクト。でも、思った程ほのぼのでもありませんでした。

食べて、祈って、恋をして」の中年男性版という感じで、何か大きな挫折を味わったわけでもないけれど、ふとしたきっかけで空虚というか行き詰まりを感じて、旅に出て転換を図ろうというストーリーでした。

中国・アフリカ・アメリカと回っていくのですが、中国に向かう飛行機の中で出会う銀行家のステラン・スカルスガルドはいいとして、アフリカで麻薬ビジネスに手を染める危険な男にジャン・レノっていうのがビミョー。

そもそも主人公を演じるサイモン・ペッグも精神科医にはミスマッチな気がするし・・・。でも、ハッピーエンドだったから、まあいっか!


Hector and the Search for Hapiness」(2014年ドイツ・カナダ・イギリス・南アフリカ)

2017年4月24日 (月)

ダイアナの選択

銃乱射事件に巻き込まれるまでの高校生のダイアナと、夫と子供と何不自由なく暮らす大人のダイアナが、交互に描かれていました。

タイトルにある「選択」について、本編ではなかなか明かされませんでしたが、私は事前に聞いてしまっていた(ネタバレを恨みます)ので、予期してはいました。

「選択」はさておいても、高校生のダイアナの心の葛藤とか、自分の居場所のなさとか、彼女が持っているそういう精神的なもろさのようなものは、すごく感じました。

と同時に、大なり小なり心に傷を残す学校での銃乱射事件が、今でもアメリカを中心に世界のあちこちで起きていることを思うと、心が痛みました。

17歳のダイアナと付き合っている年上の男に、オスカー・アイザック! こんなところに出ていたんですねー。


The Life Before Her Eyes」(2008年アメリカ)

チョコレートドーナツ

実話に基づく話だけあって、過剰に美化することなく、実際に主人公たちが直面したであろう世間の偏見や障害を忠実に描いているようでした。

1979年のカリフォルニアといえば、「ミルク」でハーヴェイ・ミルクがゲイの権利のために立ち上がって殺された頃で、まだまだ差別が根強かった時代。
そんな中で、ゲイのルディがダウン症のマルコと出会い、社会の弱者同士助け合おうと手を差し伸べたくなるのは理解できました。

そして、ポールと3人で親子のように生活するうち、絆が強まって親権を願ったのに、ゲイに対する嫌悪感から阻止しようとする人達のやり口には、憤りを禁じ得ませんでした。

邦題は、マルコがドーナツを大好物だったことからつけられたのだと思いますが、ドーナツを食べている時のマルコの幸せそうなこと! とにかく可愛すぎました。


Any Day Now」(2012年アメリカ)

2017年4月23日 (日)

脳内ニューヨーク

こちらも一筋縄ではいかない奇才チャーリー・カウフマンが、脚本だけでなく監督もした作品です。

もっと突飛なストーリーを想定していたので、妻に見放されて孤独な男が人生を模索しながら必死に生きている話は、多少妄想はあるにしても、意外にまともでした。

ただ、見た目にはほんの数週間の出来事が、実際は何年も経っているのが、不思議な感じでした。
主人公自身も一年を一週間のように捉えていたようなので、わざとそう見せていたのだと思いますが、見ているこちらも惑わされました。

エミリー・ワトソンやダイアン・ウィーストが端役ですごいと思ったら、後からちゃんと重要な役回りが振られていて、納得しました。


Synecdoche, New York」(2008年アメリカ)

メランコリア

2週間ほどアクション映画を見てきましたが、この辺りでミニシアター系映画に転向します。
まずは鬼才ラース・フォン・トリアーの映画から。

何の説明もなく映像だけが流れるオープニングに、まさか「さらば、愛の言葉よ」みたいにずっとこれだけで行くんじゃないよね?と不安になりましたが、さすがに違いました。

事前にストーリーを聞いていなかったら、前半を見て結婚披露宴のゴタゴタを描いた現代劇かと思うところですが、後半でようやく地球に接近する星メランコリアの話題が出てきました。

映像だけでなく音楽が美しくて、まさに世界の終わりの予兆のような雰囲気でしたし、ラストは神々しいまでに感動的でした。

トリアー監督の作品は、見ている時は興味を持てても後味がいいとは言えなくて、もう一度見たい気にならないものが多いのですが(「ダンサー・イン・ザ・ダーク」「ドッグヴィル」「アンチクライスト」など)、これは大丈夫かなと思いました。


Melancholia」(2011年デンマーク・スウェーデン・フランス・ドイツ)

2017年4月22日 (土)

ヘイトフル・エイト

アクション映画特集中です。西部劇といってもガンマンの銃撃戦が多い映画とは違うかなと思いましたが、「レザボア・ドッグス」のタラちゃんだしぃとも思って、見てみることにしました。
案の定どちらかというと心理戦の室内劇に近い感じでしたが、もちろんタラちゃんらしいバイオレンスもありました。

登場する8人それぞれにいろんな経歴や事情があり、特に後から出てくる4人は全員が自称する通りの人物なのか、マイケル・マドセンなんか顔のせいか(失礼!)やたら怪しくて、いかにも裏がありそうでした。

後半は「えええ?」とまさかの展開で、かなりいろいろな可能性を考えていたつもりだったのに、「やられたー」と思いました。
そんなこんなもあって、面白さに目が離せず、3時間近い映画でもアッという間でした。

確か「ジャンゴ」の後でもう1本西部劇を撮りたくなって、脚本を書いたけど流出しちゃって怒ったタラちゃんは、一時期制作を棚上げしていたらしいですが、やっぱり作って正解だったね!と言いたいです。

それにしても、1950~60年代にアメリカで大量生産してた正統派西部劇ではなく、「続・荒野の用心棒」やエンニオ・モリコーネからもわかるように、マカロニ・ウエスタンの方が好きらしいところが、あくまでB級テイストのタラちゃんらしいですねー。


The Hateful Eight」(2015年アメリカ)

2017年4月19日 (水)

コールドプレイのライブ

海外アーティストのライブに行ってきました。

本当はもっとハードなロックの方が好きですが、3年半ほど前にボン・ジョヴィのライブ(→こちら)に行って以来だったし、最初の頃売れ行きが悪かったのか何度も案内メールがきたので、久々に行くかぁと思ってチケットを買いました。(結果的には完売だったようです。)

コールドプレイはメロディアスで耳に残りやすいし、最近の曲もヒットチャートの上位にあるので、特にアルバムを聴かなくても知っている曲が多くて、抵抗ありませんでした。
とはいえ、一番よく知っているのは、「静寂の世界」や「X&Y」の時代。中でもThe Scientistは、逆回し映像のMVも面白くて、一番好きです。

仕事帰りに行ったので、オープニング・アクトのRadwinpsさん(よく知らないのでさん付け)が終わったあたりで入場しました。私は映画「君の名は。」も見ていないし、ファンの方には失礼ですが、仕事休んでまで見なくてもいいやと思って。

私の周りの席は、多分私と同じタイミングで(つまりオープニング・アクトが決まる前の早い段階で)チケットを買っている人たちだと思うので、比較的コアなファンが多かったのではないかと思います。

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2017年4月18日 (火)

マックス・ペイン

今日のアクション映画は、マーク・ウォルバーグ主演の見逃しシネマです。

妻子を殺され復讐する話と聞いていたので、現実的な設定だと思っていたら、怪しい超常現象のような展開になって、そういうのが苦手な私はちょっと閉口しました。
これは「ニューヨーク 冬物語」のようなファンタジー・アクションなのかと覚悟を決めたところ、後半になって現実感を取り戻し、一安心でした。

でも、現実的じゃないという意味では、ゲームが元になっているだけあって、ラストはシューティング・ゲームを見ているようでした。

ザ・ウォーカー」に続いてここでも、「ブラック・スワン」で注目される前のミラ・クニスが出ていますが、「テッド」以前にウォルバーグと共演していたんですね。
彼女の妹役で、やはり「007/慰めの報酬」で注目された初期のオルガ・キュリレンコも出ていました。

また、クリス・オドネルは重要ではあるものの結構な脇役で、しかも「NCIS:LA」のタフなGとは対照的な弱っちい男だったので、拍子抜けでした。


Max Payne」(2008年アメリカ)

2017年4月17日 (月)

イコライザー

もう1本、デンゼル主演のアクション映画を。

ホームセンターで働く平凡な男マッコールが、どうして売春少女を助けようとしたのか気になりましたが、少女に同情したというだけでなく、やっぱり眠っていた素の自分が顔を出したということなのかなと思いました。
テリーを助けたとたん、汚職刑事を退治したり、勤め先の強盗に反撃したりするのが、タイミング良すぎだと思ったけれど、そう考えれば納得できます。

先の「ザ・ウォーカー」の影響で、近未来にいるデンゼルが頭から抜けず、最初のうちは現代が舞台なのが変な感じでした。
本を手放さないところや、秒殺で敵を倒すところも一緒だし。

とにかく強いので、最初は安心して見ていられましたが、途中でロシアン・マフィアに素性が割れるに及んで、ハラハラして見るのが辛くなりました。
でもラストは、マッコールに有利なホームグラウンドでの戦いだったので、サスペンスすぎず助かりました。

クロエ・グレース・モレッツは、重要な役ではあったけれど、意外にチョット出でした。


The Equalizer」(2014年アメリカ)

2017年4月16日 (日)

ザ・ウォーカー

今日はこちらの、デンゼル・ワシントン主演の近未来アクション映画です。

最初、黙々と歩いて旅をするだけの彼の状況や目的が全くわかりませんでしたが、強盗に狙われて戦うシーンが、シルエットだけなのがカッコよくて魅せられました。
全体的にダークなトーンで、荒廃した未来世界の映像とあいまって、すごくスタイリッシュでした。

公開時のインタビューで、当初は出演するつもりはなかったけれど、脚本を読んだ息子に勧められて出ることにしたと聞いた覚えがあります。
信仰に篤いデンゼルなので、「特別な一冊」を守るウォーカーという役はピッタリだなと思いました。

悪役のゲイリー・オールドマンもいいですが、ウォーカーを慕うミラ・クニスの役どころが良かったし、ラストに希望を感じました。


The Book of Eli」(2010年アメリカ)

2017年4月14日 (金)

X-ミッション

以前お薦めシネマで紹介した「ハートブルー」のリメイクですが、基本的な設定を借りただけの、だいぶ異なる映画でした。

「ハートブルー」の記事中で、「今だったらちょっと調べれば素性がバレる」と書きましたが、どうやって潜入捜査官であることをごまかすのかと思ったら、エクストリーム・スポーツで動画をアップしていた時は本名じゃなかったという都合のよさ。
そして、その時のあだ名がジョニー・ユタというだけで、今回は犯罪捜査よりもエクストリーム・スポーツそのものにスポットを当てている感じでした。

カリフォルニアの海でサーフィンしていただけのオリジナルと違い、インド・メキシコ・フランスと、世界を股にかけて規模は大きくなった分、本来の視点での面白さは失ったかなという気がします。
とはいえ、ボーディが自分に似たユタに目をかけ、半分怪しいと感じながらも彼を信じたくて目を背けている、その辺りの微妙な関係は、こちらの映画でも描かれていました。

ムササビみたいに飛んでいくシーンは、カラフルな色合いもあって可愛かったのと、ラストのベネズエラの景色は本当に美しかったです。

主演のルーク・ブレイシーは、どこかで見たことがあると思ったら、「スパイ・レジェンド」でピアース・ブロスナンの愛弟子だった彼ですね。
それと、ボーディたちの金銭面での支援者アルは、ニコライ・キンスキーという名でしたが、あのクラウス・キンスキーの息子(ナスターシャ・キンスキーの異母弟)だそうで、確かに顔が似ていました。


Point Break」(2015年アメリカ)

2017年4月13日 (木)

ワイルド・スピード SKY MISSION

フランス映画月間の後にいつもアクション映画月間になるワンパターンが嫌で、今回こそは変えようと思っていたのですが、ベンアフの夢のせいで「バットマン vs スーパーマン」を見てしまったので、結局アクション映画を特集します。

ポール・ウォーカーの急逝で話題となったこちらの映画ですが、既に7作目にもかかわらず、今回も楽しめました。

冒頭から見せ場たっぷりで、体格の違いすぎるザ・ロック相手にさすがのクリスマス様も形無しかと思いきや、何とか勝ちを収めて喜んだのは、ステイサム好きの私だけ?
その後も、ドムとの戦いで負けが込んでも食い下がり、しかもドムの行くとこ行くとこ追いかけて「ここにも来たか! すごいな!」と感嘆することしきり。

さすがイギリス最強の男と呼ばれるショウ兄は敵として不足なしで、ステイサムはピッタリのキャスティングだと、すっかり欲目で応援してしまいました。

ブライアン役は、撮影済みのポール・ウォーカーのシーン以外に、過去の映像とCG、そして実の弟たちによるボディ・ダブルで乗り切ったとのことですが、わかって見ているせいか、弟は遠目でもやはり違いましたね。

エンディング曲のSee You Againは、ミュージック・ビデオを見て何度も泣いたのに、今回もまた涙してしまいました。


Furious Seven」(2015年アメリカ)

2017年4月10日 (月)

バットマン vs スーパーマン

夕べなぜかベンアフの夢を見て、彼は胸にSのついたスーパーマンの衣装を着ていたのですが、起きてから「あれ? スーパーマンじゃなくてバットマンでは?」と思い、今日はこちらの映画を見ることにしました。

スーパーマンの「マン・オブ・スティール」の続編と思っていたので、バットマンがメインなのは予想外でしたが、スーパーマンの生い立ちはすでに描いたから、「ジャスティス・リーグ」の前振りとしてバットマンを中心に据えたということでしょうか。

映画館で見た知り合いたちの評判が総じて良くなかったのですが、確かに前半はわかりにくかったし、バットマンがスーパーマンに敵対する事情も納得できかねました。

個人的には、ワンダーウーマンがカッコよくてよかったです。これまで名前しか知らなかったけれど、キャプテン・アメリカみたいな盾をを持っているんですね。
タイトルは「バットマン対スーパーマン」だけど、実際はバットマン&スーパーマン&ワンダーウーマンとしたいぐらいの活躍でした。

他に、フラッシュやアクアマンもチラッと出ていたし、「ジャスティス・リーグ」に向け、準備は着々という感じでした。


Batman v Superman: Dawn of Justice」(2016年アメリカ)

2017年4月 3日 (月)

偉大なるマルグリット

こちらも歌手を目指す女性の話。音楽に対する熱意は「エール!」の少女と一緒でも、歌のうまさには格段の差がありました。

メリル・ストリープ主演の「マダム・フローレンス!」と同じ人物に着想を得た映画だそうです。
あちらの映画は見ていませんが、きっと笑いの中にもほのぼのとした味わいと、献身的な夫の愛にあふれた作品ではないかと思います。こちらはフレンチ・テイストに味付けされたフィクションなので、ブラックっぽいユーモアでした。

音楽だけが生きがいの男爵夫人マルグリットは、下手にお金も地位もあるので誰も音痴を指摘しないし、夫は彼女の友人と浮気中、お金目当てに彼女に近づく人たちもいます。

でも記者のボーモンは、最初は別の目的で彼女に取り入っても結局は情にほだされ、疑うことを知らない純粋なマルグリットを見守るようになったし、彼の紹介した音楽教師とその仲間も、徐々に彼女の人柄に魅かれたのかなと思います。

演じるカトリーヌ・フロは、「地上5センチの恋心」や「奥さまは名探偵」など愛らしい印象なので、ピッタリなキャスティングでした。

ところで、音痴の人って、自分で音痴とは気づかないものでしょうか。私は歌がうまくないけど、少なくとも自覚はしています。
映画を見ながら「この時代は録音して自分で聞くこともできないしね」なんて思っていたら、後半で実際に録音機が出てきて笑いました。


Marguerite」(2015年フランス)

2017年4月 2日 (日)

エール!

昨日の「愛について、ある土曜日の面会室」が重かったせいか夢にまで出てしまい、今日は元気をもらえそうなこちらの映画にしました。

知人に耳の不自由な人がいないので、静かに生活しているものだという先入観を持っていましたが、このベリエ一家は音に無頓着で、騒々しい生活を送っていました。
でも皆、底抜けに明るくて障害をものともせず、主人公の弟でやはり耳の聞こえないカンタンも、問題なくすくすくと育っていたし。

そんな家族の中で1人だけ耳の聞こえるポーラが、歌の世界に飛び込む話だけかと思ったら、土地開発を進める現村長に対抗して父親が選挙に立候補するという話もありました。
そして突然オランド大統領の本を読み始め、母親もジャッキー・ケネディについての本を読み出すというのが笑えました。

びっくりしたのは、学校のコーラス部で歌う歌が、ドギツイ歌詞のポップスだったこと。これは、田舎でくすぶっている音楽教師のささやかな抵抗なのか、それともフランスなら当たり前なのでしょうか・・・?

後半の発表会でポーラの歌う声を消し、両親の目線で少女を映すシーンが、とても良かったです。
また、クライマックスでの歌の歌詞は、実際のシチュエーションと相まって涙でした。

母親役のカリン・ヴィアール(「フランス、幸せのメソッド」)は知っていましたが、音楽教師のエリック・エルモスニーノという人は、どこかで見たと思ったら、「ゲンスブールと女たち」のセルジュ・ゲンスブールでした!


La Famille Bélier」(2014年フランス)

2017年4月 1日 (土)

愛について、ある土曜日の面会室

邦題から想像したのは、面会室で起こる出来事を描いた室内劇のようなものでしたが、実際は、全く他人の3人を並行して追いながら、同じ日の面会室に行き着くまでを見せていました。

その3人というのは、30歳を過ぎてまともな職もなく彼女にも好き勝手されているステファン、16歳のサッカー少女でアレクサンドルという少年と恋に落ちるロール、そして、フランスに住んでいた息子が殺されてアルジェからやってくるゾラです。

この3人が3人とも、意外な経緯で刑務所の面会室にやってくるのが、現実には絶対なさそうで映画だなーという感じでした。
アレクサンドルが収監されてローラが会いに来るのは普通ですが、付き添いで来る人の設定があり得ないし、ゾラが息子を殺した相手に会うのも、そのツテが変わっていて。でも、一番はやはりステファンですね。

ただ、その意外性がかえって興味深かったし、ラストの面会室での出来事の後、3人がどのような人生を歩んだのかが非常に気になりました。

ステファンを演じるのは、私が最近注目しているレダ・カテブ(「夜、アルベルティーヌ」「預言者」)で、彼は一人二役でした。


Qu'un Seul Tienne et les Autres Suivront」(2009年フランス)

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