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2016年3月 1日 (火)

サウルの息子

ハシゴの2本目は、アカデミー賞外国語映画賞受賞のこちらの作品。去年のカンヌでも評価が高かったし(→こちら)、「ゴールデン・グローブ賞授賞式」の頃から見たいと思っていたのをようやく実現しました。

ユダヤ人のサウルは、ゾンダーコマンドの部隊に選ばれ、同胞のガス室送りを手伝わされています。死体を運んでいる仕事中に、まだ生きながらえている少年を見たサウルは、それが自分の息子ではないかと思います。結局少年はほどなく死にますが、サウルは何とかラビを探して葬儀と埋葬をしたいと考えます。


ホロコースト映画はいくつも見ていますが、これはまた新しい視点で、かなりサスペンスフルでした。

ラビを見つけようとあちこち動くサウルを見ていて、捕まって殺されるんじゃないかとこっちがハラハラしたけれど、サウルにとっては、自分はどうせ明日をも知れぬ身だからと思って、自分が生き残るより埋葬の方が重要だったんでしょうね。

実際、同じユダヤ人たちが「死のシャワー」を浴びて叫んでいる傍らで無表情に立っている彼を見たら、そして死体を片づけたりその後の清掃をさせられたりする様子を見たら、生きる意味を失ってしまいそうになるのもわかります。
なので、目的を持ったことが逆に彼の救いになったのかなと思えました。

ゾンダーコマンドの仲間たちも、サウルの行動を注意したりはしていたけれど、誰も見放したりナチに突き出したりせず、協力してくれる同胞の医者もいたりして、環境的に恵まれていたとは思うけど、皆、彼の心情を理解してくれたのでしょうね。

描かれたのは、少年が死んで遺体処理されようという晩までの間と、その後の反乱に伴う騒動についてなので、ほんの二日間ぐらいの話なんですよね・・・。でも、とても密度の濃いストーリーでした。

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コメント

連投です(ペコリ)
アウシュヴィッツ・ビルケナウが舞台、ですね。
いや、見ていませんが・・・大体予想が・・・(ゴメンなさい)
ゾンダーコマンドは、身内&知人の死体を見てしまった、はあったそうですね。
また、衣服を整理する係になった人は、身内の衣装を発見したことも・・・
そういう意味では、ようさんの仰る通り、今までに無い視点の作品かと。
ただ・・・映画なので、綺麗になっているかと(嫌な言い方で、ゴメンなさい)
いやいや、多くの人に知ってもらうためには、見てもらう必要がある。
その中に人の心に訴える必要もある・・・私も承知しています。
ただ・・・これは余談として、捨て置いて下さって結構ですが。
収容所で、このような任務についていた被収容者の方々、ですが。
同胞達が送られてこないと・・・自分達の身が危なくなる。
仕事が無い=用無し、ってことになりますから。
だから・・・本当に、これは誰も責めることは出来ない!と思いますが
「新たな人々が送られてくることを待ち望んでいた」
という記述を読んだことがあります。
そして「自分は、同胞の死を望むような、おぞましい者になってしまったのだ」とも。
私、どうしても、このようなことに、より心が向いてしまって・・・
多分、この映画も見ないでおこう・・・ってなっちゃう予感が、です。
余計な話で、申し訳ありません。

リィンさん、こちらも裏話というか実体験についての情報をありがとうございます。
私はゾンダーコマンドという存在も初めて知ったぐらいなので、
そういう人たちを啓蒙するという意味では、この映画も意義があると思います。
でも、リィンさんのように、色んなことをすでにご存じだと、
事実との違いが目についてしまうのでしょうね。
それと、「新たな人を待ち望む」という話ですが、
映画の中では、新たな人が来る来ないにかかわらず、
定期的にメンバーが入れ替えされているようでした。
そのスケジュールでは、サウルも数日うちにはどのみち死ぬかもという状況で、
だから余計捨て身だったのかと思ったのですが、
もしかしたら、リィンさんの言うように「きれいに」描くために、
そういう設定にしたのかもしれませんね。

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