« さよなら子供たち | トップページ | ミスティック・リバー »

2015年8月17日 (月)

善き人

1937年のベルリン。大学教授のジョン・ハルダー博士は突然、総統官邸に召喚され、検閲委員長のボウラーに会います。彼が安楽死について書いた小説をヒトラーが気に入ったとのことで、ハルダーはナチスに入党させられ、恩寵の死についての論文を書くことになります。
彼がその小説を書いた1933年当時は、病気の母親を抱え、妻子がありながら教え子のアンと不倫を始めた頃でした。


何かもっと戦争を感じるストーリーかと思っていましたが、第2時大戦下のドイツが舞台というだけで、基本的には一人の男の人生についての話でした。
平凡な教授が若い女に走り、友人と決別し、でも母やかつての妻に対する責任も負い…という設定は、現代にあってもおかしくないものでした。


ハルダーが不倫に走ったのは、アンの方が積極的だったからというのもありますが、母の介護に疲れ、妻は料理もしないでピアノを弾くばかりという家庭環境な上に、職場では入党しないと昇進もままならない状況で、現実逃避するのにいいきっかけだったのかなーと思います。

決別した友人はユダヤ人精神科医のモーリスで、彼の置かれた立場だけが唯一、あの時代のドイツを感じさせるものでした。
あとは、「ワルキューレ」や「わが教え子、ヒトラー」など最近見たナチもの映画でも聞いたヒムラーやゲッベルスといった名前が飛び出し、すっかりナチの将校の名前に詳しくなったなー、なんて思ったりしました。

それから、終わりの方で、形だけの入党だった文化人のハルダーがユダヤ人狩りに駆り出されるところ。モーリスの身を案じるハルダーがラストに知った真実は辛いものでしたね。
でも、最後の最後は何だか幻想的でもあり、すべては夢とも現実ともつかないように思えるエンディングでした。

主人公ハルダーを演じるのは、「ロード・オブ・ザ・リング」のアラゴルンことヴィゴ・モーテンセン(「オーシャン・オブ・ファイヤー」)。友人モーリスのジェイソン・アイザックス(「ミッシングID」)は製作にも名前を連ねていましたね。ハルダーの母にはジェマ・ジョーンズ(「恋のロンドン狂騒曲」)。そしてボウラー役は、ここでも最初の方だけしか出演していないマーク・ストロング(「ウェイバック」)です。

« さよなら子供たち | トップページ | ミスティック・リバー »

映画」カテゴリの記事

コメント

ようさん、こんにちは。
この作品は、色々考えさせられるものだと思いますが、いかがでしょうか?
見たくないものから目を背けている間に、物事は進んでいく・・・
気がついた時には、もう散り返しのつかない状態に・・・
ようさんが御指摘の通り、エンディングは、幻想風でしたよね。
夢か現実か・・・
ナチスものと限定しないように=いつでもどこでも、同じようなことは起きるのだから。
という風にも、受け止められますし。
またジョンの意識の情景=現実逃避、とも思えますし。
とにかく!見る人に、考えることを促す=または強要(?笑)するように思えました。
私は・・・「ジョン?ドイツ人でジョン???」とそればかり・・・
いや、気になったので・・・(笑笑)
で、ナチスの方々にお馴染みさんが??
あらあら、ようさん、もうすぐ私のお仲間に~こっちへいらっしゃ~い♪

リィンさん、こんにちは。
ラストは、私は、現実逃避としか思っていなかったのですが、
なるほど、普遍的な問題提起としての意味もあったのですね。
私はようやく将校たちの名前を覚えてきましたが、
リィンさんはきっと良く知っているんだろうなーと思いながら見ていましたよ。happy01

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/570808/62122291

この記事へのトラックバック一覧です: 善き人:

« さよなら子供たち | トップページ | ミスティック・リバー »