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2015年1月 5日 (月)

遠い夜明け

お薦めトップ5の第4位は、こちらの社会派作品です。

南ア・デイリーの白人編集長ドナルド・ウッズは、リベラルな立場で記事を書いていましたが、黒人活動家のスティーブ・ビコを反白人主義者と呼んだ記事を書いたところ、ビコの知人から本人に会うよう勧められます。
ビコに会ったウッズは、次第に彼の考えに共鳴して活動を共にし、当局の監視対象となってしまいます。


この映画を初めて見たのは、公開まもない80年代の終わりで、アパルトヘイト政策がまだまだはびこる時代でした。当時の映画ノートには、「衝撃的だった。南アのアパルトヘイトがここまでひどいとは。世界にはまだまだ問題や矛盾が多いのだと感じます」と書いてありました。


ウッズはビコの思想に影響を受けたのはもちろんでしょうが、彼の人柄にも魅力を感じたのかなと思います。人権活動家は皆そうなのかもしれませんが、決して卑屈になることなく、自分の考えを力強く示せる彼に、私も心を奪われました。それは演じるデンゼル・ワシントンの魅力なのかもしれないけれど。

今回、ビコの言う「問題は差別でなく黒人の劣等意識」という意見にも考えさせられました。私たち日本人にも当てはまる気がして。西洋人に比べてたくさん優れた点があるにもかかわらず、今一つ誇りを持ちきれないというか、白人に対する憧れを拭いきれないというか。決して愛国心がないわけじゃないのですが。

ただ、南アの状況はそれ以前に、平等な教育の機会や仕事選択の自由がないという根本的な問題があり、それが世界の様々な国にまだ残っている現状を考え合わせると、早く皆が自由を享受できる世の中になってほしいとつくづく感じます。

1977年という時代を感じたのは、ウッズが海外でビコについての本を出版するために、原稿をバッグに入れ牧師の格好で出国しようとするところ。今ならネットですぐに拡散できる情報を、まさに命がけで持ち出す様子は感慨深かったです。

この脱出劇は、「アルゴ」や「ラストキング・オブ・スコットランド」のラスト同様、結末はわかっているのに心配してドキドキしました。ウッズが海外で語らなければ、ビコの真実も明るみに出ることはなかったわけだし、彼のような白人が南アにいたことに希望を見出せました。

ウッズ役のケビン・クライン(「五線譜のラブレター」でも言及)、ビコ役のデンゼル(「アントワン・フィッシャー」でも言及)共に、この映画がきっかけでファンになり、他にもそれぞれ「ソフィーの選択」や「グローリー」など社会的な問題を啓発する作品に出ているのを見て、彼らの魅力にどっぷり浸かっていた頃を懐かしく思い出しました。もちろん今でも好きなんですけれどね。
監督は、昨年亡くなったリチャード・アッテンボロー。彼も「ガンジー」など政治的な背景を持つ作品のある、俳優出身の監督です。

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