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2012年6月 4日 (月)

神々と男たち

実話をもとにした映画で、カンヌでグランプリを受賞しました。

96年のアルジェリア。クリスチャンをリーダーとする8人のフランス人修道僧たちは、田舎の修道院で、地元民を助けながら、質素に暮らしています。
そこへ、イスラム過激派が外国人を殺すという事件が発生します。動揺しながらも、僧院にとどまることを決意するクリスチャンたち。しかし、状況は次第に厳しくなっていきます。



実際の事件で、結末はわかっているのですが、それでかえって怖くてドキドキしました。
クリスチャンが、軍の警備を断った理由も、フランス内務省からの退去通達が出ても去らなかった理由も、最初はわかりませんでした。国に帰りたい他の修道士たちと議論になったりしたときには、クリスチャンの意図を疑いもしました。
しかし次第に、地元民を残して自分たちだけ逃げられないという思いと、ここが自分たちの居場所であるという気持ちが、理解できてきました。

そして、最初は発ちたがっていた修道士たちも、最終的に全員残る道を選びます。その過程がとても丁寧に描かれていて、とても感動しました。それを見たからこそ、その後何が起こっても、修道士たちに悔いはなかっただろうと信じることができました。

外から物資や手紙を運んでいる修道士がやって来て、ラジオをつけ、「白鳥の湖」を聞きながら食事を取り、皆で笑顔になるシーンでは、後に起こることを予期した最後の晩餐のようで、かえって物悲しかったです。すると、皆の顔から次第に笑顔が消えていき、彼ら自身も、自らの身に振りかかる運命を悟っていたかのようでした。

私には彼らの心理を完全に理解することはできないけれど、本当に深い信仰がなければ取ることのできない行動だと思います。その態度は崇高でさえありました。
クリスチャンが自分たちを野の花に例え、花は自分で動くことができないが、神がその場所で守ってくれる、という話をしたときに、彼らの強い信仰の一端を垣間見ることができたように思います。

原題のフランス語は、「男たち」という表現が Des Hommesとなっており、英語のManと同じく、「男」と「人間」の両方の意味があります。修道士は男なので、確かに男たちでもいいのですが、私は、性別を超えた、「神」に対する「人間」という意味でも使われているような気がしました。

クリスチャンを演じるのは、フランス人ながらアメリカ映画出演の印象が強いランベール・ウィルソン。もう一人、医者として地元民を診察するリュック修道士のミシェル・ロンズデールも、最初に見たのはやはりアメリカ映画でした。
そんな2人が、フランス人の真髄とも言うべきカトリックの信仰をテーマにした映画で名演を見せているのを、本当に嬉しく思いました。

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