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2011年9月11日 (日)

扉をたたく人

普段、脇役で見るリチャード・ジェンキンス(「君がいた夏」「食べて、祈って、恋をして」で言及)が初主演で、アカデミー賞主演男優賞にノミネートされた作品です。

愛妻を亡くしてから、心を閉ざして孤独に生きているコネチカットの大学教授のウォルターは、大学の指示でニューヨークの学会へ論文発表に行きます。ニューヨークにもアパートを持っている彼は、久しぶりにその別宅に行ったところ、見知らぬ外国人のカップル、シリア人のタレクとセネガル人のゼイナブが住んでいます。すぐに出ていくという2人でしたが、ウォルターは、次の住まいが見つかるまで泊めてあげることにします。
タレクはジャンべという楽器の演奏家で、そのリズムに惹かれたウォルターは、タレクからジャンべを習います。

冒頭でウォルターがピアノを習おうとするシーンがあるのですが、お世辞にも上手とは言えず、そこへ結婚指輪が映り、妻のピアノを弾くことで妻を身近に感じていたいと思っている気持ちが容易に想像できました。なので、ドラムを習う話と知っていた私は、なぜ?と思いましたが、そこに至る経緯がとても自然でした。そして、ジャンべを通してどんどんウォルターとタレクの気持ちが近づいて行くのが、手に取るようにわかり、そして、孤独感でいっぱいのウォルターが心を開いていく様子も見事でした。

後半は、タレクが移民局に捕まり、彼を救うためにウォルターが奔走する様子が描かれます。不法移民である以上、強制送還になるのは仕方ないとは思うのですが、9・11以降、急に方針転換した政府の犠牲になっているのは間違いありません。それまでは、何年もアメリカに住んでいる事実があれば、極端な対応には出なかったと思うのですが、9・11を口実に何でもありになってしまっている状況が伺い知れました。

私は、この邦題が素晴らしいと思いました。原題は「The Visitor」(訪問者)で、ウォルターにとって、外から来た人であるタリクは、ウォルターの閉ざされた心を開き入ってくる訪問者でもあります。ただ邦題は、その意味合いに、2人が太鼓を叩くのもかけて、趣のある言葉に変えました。
私は、このブログでも、何度か変な邦題に文句を言っていますが、だからこそ、たまにこういう、原題を凌ぐような邦題に出会うととても嬉しいです。

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