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2011年7月 6日 (水)

Omar m'a tuer

フランス滞在中にもっと映画を見たかったのですが、仕事で行ったのでなかなか時間が空かなかったのと、夜疲れてしまってホテルにいたかったのとで、結局一本だけになりました。ちょうど映画週間のキャンペーン期間中で、1本3ユーロで見られたのでもっと行けばよかったのですが、仕方ありません。

で、唯一見た映画がこれなのですが、まず、タイトルの「オマールが私を殺した」は、フランス語のわかる方なら、Omar m'a tuée が正しいと知っていると思います。これは、現実の事件を基にしていて、私も知っていたぐらい有名な事件なのですが、殺された女性が、「Omar m'a tuer」と間違った文法で書いていたことに依るものです。

事件が起こったのは、1991年。モロッコからの移民オマールは、殺された女性の家で庭師として働いていました。現場に残された血の告発により逮捕され、裁判で一度は犯人と断定されるのですが、後に恩赦を経て釈放されます。

まず、オマールが移民であるだけでなく、母国語のアラブ語でさえも読み書きできず、フランス語に至っては話すこともできないことから、警察が最初から疑ってかかっている(もちろん例の告発もあるし)ことに、同情しました。私はオマールと違って全くフランス語が話せないわけではないし、殺人の罪に問われたことがあるわけでもありませんが、言葉ができず歯がゆい思いは痛いほどわかります。反論したくても反論できない、相手が何を言っているのかもよくわからない、そんなオマールの苦悩が実感できました。

でも、彼は収監されている間に、同郷の同房者の忠告に従い、フランス語を学び、最初に有罪とされた裁判では通訳を通してしか話ができなかったものの、釈放された時には、自分の言葉でフランス語で話していたことにも感動しました。と、同時に、それだけ長い年月が経ったこと、刑務所ではフランス語を学ばずには過ごせなかったという環境が容易に想像でき、辛くもありました。

映画では、ある作家がオマールの無実を信じて、警察が探す気にもならなかったような証言の検証や現場調査などを行い、それを本にして出版します。その反響の影響で、シラクが恩赦を出すという流れなのですが、現実にはシラクはモロッコ側の要請で恩赦を決定したようですし、どこまでが映画用のフィクションなのでしょうか? ただ、オマールの裁判見直しに力を注いだジャーナリストは実在したようです。 
オマール自身も後に自伝「Pourquoi moi ?」(どうして私が?)を出し、映画はそれに基づいて作られたとのことでした。

オマールを有罪とするような現場のDNAや被害者の血のついた彼の服などは全く見つかっていず、逮捕の根拠は壁の血文字だけ。しかも被害者の女性は前述のような文法間違いを犯すような人ではなかったことから別の人が彼女の血と指で書いたのではないかと推測ができることなど、オマール有罪に対する反証は多くあります。
が、真犯人がいまだ逮捕されていないことが気になります。それまでは冤罪は完全には証明されないとも言えるでしょう。いえ、たとえ真犯人が捕まったとしても、自分が投獄されていた事実は消えることはないし、オマールが心休まることは一生ないのかもしれません。

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