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2011年6月18日 (土)

マルセイユの決着(おとしまえ)

刑務所から脱獄したギュ(ギュスターヴ)が、ひと稼ぎしてから国外逃亡しようと金塊強奪の計画に乗るのですが、警察の追っ手も執拗に迫ってきて…というストーリーです。ギャング同士の抗争とかの話かと思ったら、ギュを追う警察との攻防に焦点がある感じでした。特に、ミシェル・ブラン演じるブロ警視は、ギュの逮捕にかなり執着し、容赦ない追跡とするどい捜査でギュを追いこみます。

そのせいなのか、58年のジョゼ・ジョバンニの原作だからか、近年のフィルム・ノワールに比べ、バイオレンスとしてはかわいいものでしたね。愛する女(モニカ・ベルッチ)に影響されて、若干冷酷さに欠けたってことなのかもしれません。
仁義を大事にする昔堅気のギャングっていうのは、設定としてはいいと思いました。ただ、忠実な部下アルバンやギュを助けるオルロフの方が、その分印象的に見えました。

フランスのフィルム・ノワールって、どうして妙に気障な邦題をつけるのでしょうか。「あるいは裏切りという名の犬」とか「冷たい雨に撃て、約束の銃弾を」とか。原題がシンプルなので、そのまま訳すと面白くないというのはわかりますが、もう少し普通の題にしてほしいです。

それに比べれば、この映画の邦題は、まだましな方です。原題はLe Deuxieme Souffleで、日本語に訳しにくいことは確かです。意味は、直訳の英語題The Second Windから推測できる通りで、おそらく刑務所に入る前のギュがThe First Windで、二番目の(そして最後の)ひと風(=ひと暴れ?)ってことなのかもしれません。

ダニエル・オートゥイユは、子供の頃「ザ・カンニング」という映画を見て、決して二枚目とは言い難かったのですが(今は渋いけど)、ジェラール・ドパルデューといい、一昔前は二枚目じゃないほうが成功したのでしょうか。中堅どころのヴァンサン・ペレーズやシャルル・ベルリング、ジャン・ユーグ・アングラードは結構いけてる顔だし、若手に至ってはブノワ・マジメルやメルヴィル・プポーにギャスパー・ウリエルと二枚目のオンパレードですが。

オートゥイユは、顔つきがあまり冷酷そうでなく、この映画では特に、潜伏中の姿が気のいいおじさんに見えちゃって、ギャング役には向いていない気がしました。「ジャック・メスリーヌ」のヴァンサン・カッセルとかは、冷たい表情がとても似合っていたけれど。
彼はむしろ、当時の恋人のち妻のエマニュエル・べアールと共演した「愛を弾く女」や、「僕と一緒に幾日か」、「ロミュアルドとジュリエット」、「橋の上の娘」のような恋愛ものや、「八日目」、「サン・ピエールの生命」といったドラマ要素の強いものの方が合っている気がします。

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