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2011年5月27日 (金)

ヴィーナス

若い頃のピーター・オトゥールは、私の好きな俳優とは言えませんでした。「アラビアのロレンス」や「冬のライオン」、「チップス先生さようなら」、「ラ・マンチャの男」など、作品的には評価されたものの、一度もアカデミー賞を取れなかった、この不遇の俳優は、年老いてなおこんなに素晴らしいのかと見直した作品でした。

物語は、本人を彷彿とさせる、かつて有名だった老俳優が死期を前にして、若い娘に心惹かれるというもの。時には娘の言動に振り回されながらも、かつてプレイボーイとして馴らした彼は、最期に女性とわくわくする時を過ごせて幸せだったに違いありません。そして、娘の方も、気持ち悪いとか汚いとか最初こそ言っていたものの、女性の扱いに慣れた優しい彼に好意を感じていく、その心理がとても理解できました。

オトゥール演じるモーリスが、別れた妻(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)とキスするシーンは、とても情愛に溢れていて、じーんときました。愛ではなく愛おしさを感じたという、その彼の表情はとても感動的で、主演男優賞をあげたかったです。(残念ながら、「ラスト・キング・オブ・スコットランド」のフォレスト・ウィティカーに負けちゃったけど、仕方ないですね…。)

そして、彼のグリーンの瞳は、若いころ私が決して好きではなかったあのグリーンの瞳は、なぜかこの老人の顔の中ではとてもしっくりきて、とても雄弁に感情を物語り、私もまた、この娘と同様に、彼の傍にいたいと思える魅力的な瞳でした。

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