2017年11月12日 (日)

ミモザの島に消えた母

先日見た「ある秘密」と同様、封印された家族の秘密が明るみになる話です。

亡くなった母についての話題は、父親だけでなく父方の祖母の口も重く、質問するのさえ厳禁という空気は、とても謎めいていて気になりましたが、予測していたのとはだいぶ異なる秘密でした。

溺れたと聞いていたけれど、事故死ではなく入水自殺なのではとすぐに思いましたが、子供の頃ならまだしも大人になったアントワーヌとアガットに隠す理由は考えつかなかったし。

母の死を乗り越え切れていなかったのか、それとも秘密を抱えた重苦しい家族の雰囲気のせいなのか、アントワーヌは精神的に不安定な部分があったけれど、妹も同じ環境にいて影響を受けていなかったということは、やはり兄の方が、母の死を受け止めるために説明が必要な年齢だったんですね。

母の死のいきさつが明らかになって、これからは穏やかな生活を送れるようになるのかなと、希望と再生が感じられる結末がよかったです。


Boomerang」(2015年フランス)

2017年11月10日 (金)

テレーズの罪

今日のフレンチシネマは小説の映画化です。勝手に「ボヴァリー夫人」のような話を想像していましたが、違いました。

そもそも、19世紀が舞台と思っていたら第1次大戦後でしたし、ユダヤ人が出てきたので迫害の話に繋がったりするのかと思ったら、それもなし。
今なら当然の女性の自立がままならない時代に、抑圧された進歩的なテレーズが辿る運命を描いた話でした。

最初は政略結婚にも疑問を持たず、自ら進んで縁談を受け入れて、恋愛よりも安定して落ち着いた生活を望んでいるかに見えたテレーズ。むしろ幼なじみのアンヌの方が自由奔放な恋愛に憧れるタイプでした。

ユダヤ人のジャンと深い語り合いをしたのがきっかけだとしても、沸き上がった疑念が抑えきれなくなった時に、ふと目にしたチャンスに飛びついてしまったのは、この時代だからというだけでなく、やはりテレーズの中に狂気めいたものが潜んでいたということなのでしょうか。

そんな複雑な人間の心理について考えされられたのは、小説の時点できちんと描かれているからだと思い、原作も読んでみたくなりました。


Thérèse Desqueyroux」(2012年フランス)

2017年11月 8日 (水)

ラスト・クライム 華麗なる復讐

仕事疲れでコメディが見たかったので、こちらをセレクト。
泥棒野郎ジャン・レノが、色仕掛けのスリとITオタクという2人の娘を使ったコン・ゲームを展開します。

コミカルな設定なので、気楽に見られるのは間違いありませんが、中心は疎遠だった親子が泥棒計画をきっかけに絆を取り戻す話。なので、ハートウォーミングな側面もありました。

ジャン・レノのいろんな姿も楽しめました。彼は「シェフ!」でもそうだったように、被り物にも抵抗なさそうなので、この程度の扮装は問題なしですよね。

ラストはちょっとイマイチな感じでしたが、基本はコメディだからまあいいか、と。ファミリービジネスが順調に(?)いくといいですね。

2017年の作品ということに驚きましたが、これからはアメリカの超話題作だけでなく、フランス映画でも最速で見られるようになるといいなと思います。


Mes Trésors」(2017年フランス)

2017年11月 6日 (月)

あるいは裏切りという名の犬

今日はこちらの見逃しフィルムノワールを。

フランス映画らしく、主人公レオの事件への巻き込まれ方がハンパじゃなかったし、長年にわたる復讐劇も見応えがありました。

レオと敵対するドニも、やり方はまずいけれど心情としてはわからなくもありませんでした。頑張ってもレオばかり評価されて出世欲が満たされず、好きな女もレオに取られてしまって恨み、彼を蹴落とすチャンスを狙っていたのでしょう。

レオとドニがかつて奪い合った女性カミーユを、ヴァレリア・ゴリノが演じているのですが、彼女はどうしても「ホット・ショット」のおバカ・コメディに出ていたイメージが抜けず、本当はヨーロッパ出身の演技派らしいのに、どうしてもシリアスな役が不思議な気がします。

監督のオリヴィエ・マルシャルは元刑事だそうで、「そして友よ、静かに死ね」も重厚感たっぷりのフィルムノワールでしたが、気骨ある男のロマンを感じさせるアクションが得意なんでしょうね。
本作では、渋面で影のあるダニエル・オートゥイユと、まだ比較的細めのジェラール・ドパルデュー(「ルビー&カンタン」に近い)の名優2人の対決が見ものでした。


36 Quai des Orfèvres」(2004年フランス)

2017年11月 5日 (日)

ある秘密

昨日見た「戦争より愛のカンケイ」の主人公も、祖父母が迫害を受けたというルーツを持つユダヤ人でしたが、こちらもホロコーストにまつわる話です。

その”秘密”がホロコースト絡みであろうことは予測されましたが、思っていたのとずいぶん違いました。
それに、大人になった主人公フランソワが、事実を知って衝撃を受けるのかと思ったら、彼は少年の頃にもうその話を聞いていて、大人の彼が幼い頃の自分の話を交えながら語るという構成でした。

秘密を抱えた両親がどう生きてきたのか、少年の目を通して描かれるだけではよく分からなかったのですが、思い出すのも辛くて無かったことにしてしまいたかったのでしょうか。
苦悩の中でも前を進むしかなかったのかもしれませんが、2人一緒にいたからこそ乗り越えられたのかもしれないとは思いました。

大人のフランソワを演じるのは、私の大好きな俳優マチュー・アマルリック。でも今回は、アンナ役のリュディヴィーヌ・サニエが上手くて目が離せず、今年見た「ピウス13世」「晴れ、ときどきリリー」「愛のあしあと」に続き、すっかり注目株となりました。


Un Secret」(2007年フランス)

2017年11月 4日 (土)

戦争より愛のカンケイ

タイトルだけ見るとシリアスな恋愛ものかと思いますが、ラブコメディでした。

女性恐怖症の中年男性と、自由奔放な若い女性が繰り広げる恋愛喜劇ですが、かなり突拍子もなかったです。
いくら一度に二つ以上のことができないからって、携帯で電話していたら服を着るのを忘れちゃって、素っ裸で出かけた挙句、電車に乗るまで気づかなかったなんてあり得ないでしょう?!

そんなバカバカしさもありますが、主人公が封印していた自分のルーツを彼女のお陰で再考する辺り、移民の国ならではの人種問題については考えされられました。
以前読んで本ブログでも掲載した、「パリ移民映画」にも紹介されていた作品だけのことはあります。

ジャック・ガンブランが、「刑事ベラミー」の犯罪者と対照的な真面目な役人で、最初ちょっとだけ違和感でした。
また、先日見た「92歳のパリジェンヌ」のリオネル・ジョスパンが本人役で出ていました。


Le Nom des Gens」(2010年フランス)

2017年11月 3日 (金)

キリマンジャロの雪

今年も11月はフレンチシネマ月間です。

タイトルから、熟年夫婦がアフリカに旅して、夫婦の絆を取り戻すという話かと勝手に思っていましたが、全然違いました。
「家族の気分」「間奏曲はパリで」などのジャン=ピエール・ダルッサン主演なので、ほのぼのコミカルなファミリー系と思ってしまったのかも。

実際は夫婦仲良く、キリマンジャロの旅も計画されてはいましたが、思わぬことから犯罪の被害に遭い、そこからどう立ち直っていくかの話でした。

幸い私自身も身近な人でも、こういう犯罪に巻き込まれた経験がないので、推測でしかありませんが、ある日突然被害に遭った人は、何の落ち度もないのになぜ自分が?と思い、味わった恐怖感が拭えずその後の人生に影響を及ぼしてしまうのでしょう。

犯人側の事情も描かれて、犯罪自体はもちろん良くないけれど、犯行に至った理由は理解できました。
被害に遭った夫婦も、相手を知ることで完全な悪と対峙したわけではないと分かれば、救われ乗り越えられると感じたのかなと思いました。

妻の方が偶然入ったバーで、客の好みを瞬時に見抜くバーテンが、「イヴ・サンローラン」のピエール・ニネで、少ない登場でしたが印象に残りました。


Les Neiges du Kilimandjaro」(2011年フランス)

2017年11月 2日 (木)

マクガイバー

昔好きだったドラマ「冒険野郎マクガイバー」のリメイクです。
オリジナルで主人公がなぜいろんな冒険をしていたのか覚えていなかったのですが、フェニックス財団というCIAや対テロ組織のような政府の秘密機関で働くスパイだったんですね。

このリメイク版は、最初の何回かはハマれなかったのですが、理由として、彼が即席で作るいろんなアイテムの材料が字幕で出るのと映像を追うのとで、話についていくのが大変になるからというのがありました。物理も数学も超苦手な文系女子なので、説明を聞いてもすっと理解できないし!bearing

でも、同じように思う人が多くて改良が加えられたのか、3-4話目ぐらいからは文字による説明が格段に減って画面が見やすくなり、その辺りから徐々に楽しめるようになりました。

全21話のうち、ソーントン本部長の前半とマディに交代した後半に分かれているのは、最初は12話で予定されて、その後エピソードが追加されたからなんでしょうね。

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2017年11月 1日 (水)

シカゴ P.D. シーズン2

第2シーズンも順調に見終えました。

シカゴ・ファイア」のシーズン3についての記事で既に触れた、クロスオーバー・エピソードについては省略するとして、まず私が今シーズン注目したのは、署長の交代(マイナー・・・happy01)。

新任のフィッシャーは、演じているケビン・J・オコナーが「マグノリアの花たち」での好印象のせいもあって、私はかなり気に入っています。
最初に出てきた時には、ボイト達を厳しく管理するのかと思ったのですが、意外に理解があって自由にやらせてくれていますよね。

後は、よくわからないエリンのFBI出世と早々の出戻りなんかもありましたが、結局エリンはナディアの死を乗り越えられず、警官を辞めるのか?というところでシーズンエンドとなりました。

個人的にはローマンが気になっていて、「シカゴ・ファイア」でも書いた救急隊のシルビーとの話がこちらでは全くなかったので、一夜限りの関係だったのか?とやきもきしています。


Chicago P.D.」(2014~2015年アメリカ)

2017年10月31日 (火)

スーサイド・スクワッド

こちらは興行的には大成功だったのに、私はそれほど楽しめませんでした。
まず、元のアメコミを良く知らないので、登場するキャラクターの説明を聞いているだけで、早くも飽きてしまいました。

それに、ジョーカーが戦闘メンバーの一人かと思ったら別行動な上、敵の魔女に、彼女や悪者集団を利用する政府、集団を統率するフラッグ大佐と、いろんな立場の様々な利害がありすぎて、もっとシンプルな話を期待していたというのもありました。

悪者集団が、いくら減刑や首の爆弾のためとはいえ、政府の言いなりで命を懸けて必死に戦うのが理解できなかったし、危険なミッションで捨て駒の方が便利だったのかもしれませんが、バットマンやフラッシュがいるなら、そっちも使えばいいのにと思ってしまいました。

ただ、ハーレイ・クインはブッ飛び加減が絶妙で、人気が出たのもわかりました。それ以上にキモくて魅力的なジョーカーと2人は、まさに最強(狂)カップルで、この2人だけを主人公にするだけで十分だったと、個人的には感じました。

スクワッドのメンバーは、ウィル・スミスとマーゴット・ロビーしか知らないと思ったら、「ダイ・ハード/ラスト・デイ」のジェイ・コートニーもいましたし、フラッグ大佐が「ロボコップ」のジョエル・キナマンでした。


Suicide Squad」(2016年アメリカ)

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